日本の研究者らが東北・北上山地に誘致を進める巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」に関する日本学術会議の報告書案が19日、明らかになった。「誘致を支持するには至らない」とし、判断を慎重に行うよう政府に求めている。同日午後に正式決定し、政府に提出する。

 ILCは、電子と陽電子を衝突させる加速器。質量の源とされる素粒子「ヒッグス粒子」の詳しい性質などを調べる計画で、日米欧の研究者らが2030年代の運転開始を目指している。

 報告書案は、技術面で克服すべき課題が残っていることや、8000億円とも見込まれる建設費などの国際分担の見通しが不透明なことに懸念を示すとともに、想定される科学的成果が巨額の経費に見合うとは認めなかった。建設に伴う経済的波及効果も「限定的と考えられる」と結論づけた。

読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/science/20181219-OYT1T50044.html