2020年東京五輪チケットの申し込み受け付けが始まった9日、アクセスの殺到で公式販売サイトがパンクし、申し込みができない状態が続いた。大会組織委員会は大量のアクセスに備えた仕組みを設けていたが、午前10時の開設から午後5時までで延べ130万件のアクセスがあり、想定を超えたとみられる。

チケットを購入できるかどうかは先着順ではなく抽選で決まるため、組織委は申し込みを焦らないよう呼びかけている。

組織委は今回、混雑して販売サイトに接続できない場合に順番待ちをする「ウェイティングルーム」と呼ばれるサイトを用意し、数十万件規模のアクセスにも対処できるようにしていた。組織委の関係者も「滞りなく手続きをできるはずだ」と自信を見せていた。

ところが9日午前10時に受け付けが始まった直後から販売サイトへのアクセスは難しくなり、約1分後にはウェイティングルームで約1万3千人の順番待ちが生じた。

15分ほど経過するとウェイティングルームにも接続できなくなり、画面上には「サイトが大変混雑しております。時間がたってから再度お申し込みください」とメッセージが表示された。組織委によると、ウェイティングルームでの順番待ちはピーク時の午後5時で約18万人にのぼった。

電話での相談を受けるコールセンターにも「接続できない」などの問い合わせが相次いだ。

組織委が調べたところ、サイト内で申し込み手続きに入る際、事前登録したIDを入力してログインする操作の処理が滞り、接続できない状態が拡大したとみられるという。IDの取得者は9日午前0時時点で約319万人だったが、未取得の人も多数ログインページに接続したことが影響した可能性がある。

組織委は、チケット購入が先着順だと勘違いして手続きを急いだ人がいたことも、アクセスの殺到を招いたとみている。

組織委チケッティング部の鈴木秀紀部長は「問題はサイトの障害ではなくアクセスの集中」と説明し、今後の対応、システムの容量を増やす方針。そのうえで「5月28日まで申し込みできるので、余裕をもった手続きに協力をお願いしたい」と呼びかけた。

週末に申し込みが殺到する可能性があるため、土日もコールセンターを稼働させる。

明治大の市川宏雄名誉教授(危機管理)は組織委の対応について「どのくらいのアクセスが見込まれるかの読みが甘かった」と指摘。「販売が先着順ではないことが購入希望者に十分に伝わっていなかった可能性がある」とし、事前の告知のあり方にも疑問を呈した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44599350Z00C19A5CC1000/