【シリコンバレー=白石武志】人気ゲーム「フォートナイト」を開発する米エピックゲームズがスマートフォンのアプリ配信の仕組みが反競争的だとして米アップルを訴えた問題で、双方の対立が激化している。アップルは21日付の裁判資料の中で原告側との過去の電子メールのやりとりを開示した。エピックが自分たちだけを特別扱いするよう求めていたと主張した。

エピックはスマホの基本ソフト(OS)を握るアップルが自らのアプリ配信サービスや課金システムの利用をアプリ開発者に強制していることを不服として、13日に訴訟を起こした。他のアプリ開発者にも賛同を呼びかけているが、アップルはエピックが自社だけを優遇するよう求めていたと暴露することで、同社の主張には大義がないとの印象を与える狙いとみられる。

具体的には、アップルはエピックのティム・スウィーニー最高経営責任者(CEO)が6月30日付でアップル幹部らに送ったメールの文面などを開示した。受け取った幹部の証言として、「スウィーニー氏がエピックだけの特別取引を可能にする補足文書をアップルに求めた」と主張した。

ただ、アップルが開示したスウィーニー氏のメールには、全てのアプリ開発者を等しく扱うよう求める記述もある。スウィーニー氏は21日、ツイッターに「アップルの発言は誤解を招くものだ」と投稿した。今後の訴訟でも両社の主張は食い違うことになりそうだ。

エピックは13日、アップルの課金システムを回避する独自の決済機能をフォートナイトに導入したが、アップルは規約に違反するとして「iPhone」などへのフォートナイトの配信を同日から停止した。エピックは裁判所に配信停止の差し止めなどを求めており、24日に双方の弁護団による審問がビデオ会議システムを使って行われる予定だ。
2020/8/22 9:38
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62948140S0A820C2MM0000/