2020年度の学習指導要領改定で予定されている小中学校でのプログラミング教育の必修化。小学校では教科としては新たに設けることはせず、総合的な学習の時間などの活用が検討されている。プログラミングの学習をはじめ、実際の電化製品にはコンピューターが搭載されプログラミングによって動くことなどを学ぶ予定だ。よく「プログラミング教育とはプログラムが書けること」であるという誤解があるが、そうではない。

文部科学省の「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」では以下のような目的が示されている。

・論理的思考力や創造性、問題解決能力といった資質・能力を育む・コンピューターを動かすため に必要なコーディング(プログラミング言語を用いた記述方法)を学ぶ

他には、今後世界中で起こるIT人材の不足の解消を狙う意図もあると言われている。経済産業省によると2020年に37万人、2030年には79万人のIT人材が不足すると予測されているのである。コンピューターが使える論理的思考力や創造性・問題解決力を持ったグローバルで競争力の高い人材を育てることが目的だ。

海外と国内の現状
海外の現状を簡単にみると、英国では、小学校から高等学校まで「Computing」と呼ばれる教科を以下の3つの分野ごと(コンピュータサイエンス=CS、情報技術=IT、デジタルリテラシー=DL)。に系統立てて学ぶ。米国ではCode.orgというNPO法人がプログラム教育の推進を行なっており、活発に活動している。また政府や企業も後押しをしており、国を挙げての推進が行われている。

日本では、2013年の政府の成長戦略を踏まえて、今回2020年度からの必修化が打ち出されたわけであるが、DeNAやサイバーエージェントなどの有名IT企業がプログラミング教室の運営などに乗り出している。習い事ランキングでも上位に顔を出すようになっており、プログラミングが7位と上位になっており、親の間での関心も非常に高いことが分かる。

プログラミング教育を子供の頃から受けさせることについては賛否意見が分かれるところだろう。プログラミングを学ばせることによるメリットとしては、コンピューターに関する知識を習得できることや、論理的思考力や想像力、問題解決能力を養うことができることがある。逆にデメリットとしては、実際の現実空間で学ぶこと(自然に触れるなど)がおろそかになる恐れがあることや、子どもの時代にプログラミングを学んでも大人になってできるとは限らない−−などがある。
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