滋賀県草津市教育委員会は23日、同市野路町の榊差遺跡で、
国内最古となる奈良時代前半の獣脚の鋳型が発見されたと発表した。
獣脚は獣を模した釜や鍋を支える部分で、市教委によると、祭祀(さいし)での使用が考えられるという。
 榊差遺跡では、50点近くの鋳型の破片が奈良時代前半の土器とともに出土。
このうち、上部の顔と下部の爪先のない獣脚1点(約24センチ)や、
下部の爪先を2段で表現した獣脚が2点(約3センチと約10センチ)などが確認された。
これまでの最古は奈良時代後半だった。

 市教委は2015年度から榊差など4遺跡の発掘調査を実施。
17年度の調査で榊差遺跡から、獣脚の鋳型のほか、
鉄を溶かした炉の壁や炉に空気を送り込む通風口などが奈良時代前半の土器とともに見つかり、
国内最古の川原寺跡や飛鳥池工房遺跡(いずれも奈良県明日香村)に次ぐ鋳造遺構だったことが判明したという。
 榊差遺跡周辺には鋳造関連遺跡が集中し、都と東国を結ぶ古代東山道の遺構も確認されている。
 元京都橘大学教授(考古学)の五十川伸矢氏は
「鋳型を使った鉄器の生産技術が朝鮮半島から奈良や近江に伝わった後、東国に広がったのではないか」と話している。
(2018/05/23-17:05)

画像:榊差遺跡で発見された国内最古の獣脚の鋳型
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画像:国内最古の獣脚の鋳型が発見された榊差遺跡
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