記憶を長期間維持するための脳内のメカニズムを解明したと、
基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)などの研究グループが発表した。
将来は認知症などの薬の開発につながる可能性もあるという。英オンライン科学誌eライフに掲載された。

 数時間から数年間にわたる長期記憶には脳内のたんぱく質合成が必要なことはこれまでに判明していたが今回、
椎名伸之准教授(神経細胞生物学)らのグループが解明したのは、そのたんぱく質を合成する仕組み。
カギになるのは、神経細胞内のたんぱく質RNG105という因子だ。

 遺伝子操作で因子を欠損させたマウス16匹と正常なマウス16匹を明るい部屋と暗い部屋を自由に行き来できる装置に入れ、
一度暗い部屋に電流を流して不快な経験を学習させた。

正常マウスは1週間後も暗い部屋を避けた一方、欠損マウスは5分後には暗い部屋を避けたものの、
1週間後はほぼ元通り暗い部屋に出入りするようになり、長期記憶が著しく低下した。

図:マウスによる長期記憶テスト
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20171222000805_commL.jpg

朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASKDP3W0TKDPOIPE00R.html