投稿日:2017.10.11
分子結晶におけるスピン液体の起源を解明

愛媛大学、理化学研究所、大阪大学、東京理科大学、豊田理研、高輝度光科学研究センター(JASRI)による共同研究チームは、結晶中の分子が集団的な変形をすることで電子の持つ電荷とスピンが整然と並ぶことができない現象を見出し、平成29年10月10日(英国時間 午前10時)に学術誌「Scientific Reports」に公表いたします。
 
電子には、電気伝導を担う電荷と、電子の自転で生ずるスピン(磁石)という属性があり、二個の電子のスピンが逆向きにペアを組むと安定化します。しかし、正三角形が組み合わされてできた格子の各頂点に電子が位置する場合、電子のペアを作れない三角関係になり、伝導性や磁性などに不思議な性質を持つ「スピン液体」として注目されています。
 
本研究では、なぜ分子からなる結晶がスピン液体の特性を示すのか、その原因を解明しました。結晶中の分子が変形する様相と、分子の電荷量を、放射赤外光やレーザー光を使って計測しました。その結果、複数個の分子からなる集団が幾つか存在し、集団同士が絶えず組み替わり、電子のスピンのペアも絶えず組み替わることを発見しました。この現象は、電子を収容する分子軌道のエネルギーが組み替え前後でも変化しないことに起因します。本成果により、超伝導の起源解明だけでなく、電流以外の情報まで同時に伝達できるデバイス材料開発の研究も進展するものと期待されます。
--- 引用ここまで 全文は引用元参照 ---

▽引用元:愛媛大学 2017.10.11 プレスリリース
https://www.ehime-u.ac.jp/data_relese/data_relese-64678/