格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパン(愛知県常滑市)は17日、東京地方裁判所に破産手続きの開始を申し立てた。保全管理人によると負債総額は約217億円。コロナ禍での国内の航空会社の経営破綻は初めて。新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の低迷で資金繰りが悪化し、マレーシアのエアアジア本体に支援を打ち切られたことが響いた。

欠航便の返金を受けられていない一般客が2万3千人以上おり、払い戻しの見通しが立っていないことも明らかになった。エアアジア・ジャパンは、エアアジア本体や楽天、ノエビアホールディングス、アルペンなどの出資を受けており、株主に支援を求めていく方針を示した。

エアアジア・ジャパンの設立は2014年。中部国際空港を本拠地とする唯一の航空会社で、札幌、仙台、福岡への国内線と台北への国際線計4路線を運航していた。

2019年12月期の売上高は約40億円、最終赤字は約47億円だった。保有機材がリースで3機にとどまり、規模拡大で採算性を改善する前の段階でコロナ禍に見舞われた。4月から一時全便を運休するなど、次第に欠航が目立つようになり、10月に12月5日付で全路線を廃止すると発表していた。

保全管理人の上野保弁護士は同日、中部空港内で記者会見を開き、欠航便のチケットの返金を受けられていない顧客が少なくとも「2万3千人以上いる」と明らかにした。金額ベースでは5億円強の返金見通しが立っていないという。

エアアジア本体は将来的なグループの国際線の搭乗代金などに使える「クレジットアカウント」で対応し、現金の払い戻しにも応じる方針だ。ただ上野氏は現金での払い戻しの原資が確保されていない点を指摘し、「救済されてしかるべきだ。株主に支援できないか協議していく」と話した。

事業廃止の決定前に300人弱いた従業員は11月4日付で大半を解雇し、清算手続きに必要な約50人まで減らした。上野氏は未払い賃金があることも明かし、現在の手元資金や国の制度などで救済していきたい考えを示した。

役員は保全管理人の管理下に入る。会田純・最高執行責任者(COO)は電話取材に「必要な手続きに対して協力していく」と話した。株主の1社、アルペンは「我々としてコメントできることはない」とした。同様にノエビアも「コメントできない」としている。
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