スマホに話しかけると答えてくれるアレや、コンビニでの天候や客足などに応じた商品発注の最適化など、すでに暮らしの至るところにAI=人工知能が活用されています。そうしたAI時代に、求められる人材とは?ーーーシステムエンジニアやデータサイエンティストがそうかもしれませんが、実はいま求められているのは「数学ができる人」なのです。(経済部記者 木村隆介)

数学専攻が大人気! アメリカ
日本では「就職先がない」「何の役に立つか分からない」と敬遠されがちな数学。私自身、高校時代に深入りすることをやめてしまった文系人間ですが、数学に苦手意識を持つ人は多いのではと思います。

一方、AIの分野でリードするアメリカでは今、日本とは事情が全く異なっています。アメリカでは、よい待遇や仕事環境が得られる職種のランキングに「数学者」が常に上位に入ります。

カリフォルニアのある有力大学では、この10年で数学を主な専攻とする学生の数が5倍に増えたといいます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200302/K10012309631_2003021746_2003021749_01_03.jpg

グーグルやアップル、フェイスブックなどの巨大IT企業が今、数学専攻の学生を積極的に採用していることが背景にあります。
AIの基礎は数学にあり
なぜ数学なのか?AIには、課題を解くための計算や処理の手順を示した“アルゴリズム”が必要ですが、そのアルゴリズムを効率的に組み立てるために必要になるのが、高度な数学なのです。

足し算やかけ算などの四則演算をもとにした単純なプログラミングでは膨大な時間がかかってしまう作業が、アルゴリズムに最適な数式を組み込むことで、劇的に時間を短縮できます。
囲碁ソフトや画像認識などで使われる“ディープラーニング”のアルゴリズムは、微分積分や行列、ベクトルといった私たちが高校時代に学ぶ数学が土台にあります。

巨大IT企業がビジネスの糧にしている大量のデータを瞬時に分析し正確な結果を導き出す画期的なアルゴリズムを開発できるのは、高度な数式を理解し活用できる人材だとされているのです。
急成長 東大発の数学ベンチャーが
日本にも数学系人材を集めて注目されているベンチャー企業があります。2016年に東京大学大学院の特任教授が立ち上げた「Arithmer」です。110人の社員のうち、半数以上が数学や物理の博士号や修士号を持っていて、現代数学をAIに応用することを主な事業としています。
以下ソース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200302/k10012309631000.html