国土交通省は2日、2020年3月に予定する羽田空港国際線の増便(1日50便)について具体的な配分先を正式発表した。国別では米国や中国、ロシアなど9カ国・地域に割り振る。国内の航空会社には全日本空輸(ANA)に13.5便、日本航空(JAL)に11.5便を配分する。増便は都心上空を通過する新飛行ルートの導入に伴うもので、国際線の発着数は年9万9千回へ約7割増える。

9カ国・地域は米国、中国、ロシアのほかにオーストラリア、インド、イタリア、トルコ、フィンランド、スカンディナビア。米国には最大の24便が割り振られる。このほか多い順に中国の8便、ロシア、オーストラリアの4便と続く。スカンディナビアはデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3カ国で1便分を配分する。

50便のうち25便は国内の航空会社に割り振る。過去の発着枠の配分では経営破綻したJALへの公的支援が業界の競争環境をゆがめ、収益力の格差を広げたとしてANAに優先的に配分した経緯がある。今回は輸送実績などをもとに両社に均等に近い形で割り振る。米中豪やロシアは両社に同数ずつ配分した。

羽田の国際線定期便は訪日客を呼び込む成長戦略の柱として10年に本格的に再開された。14年に増枠があり、今回が3度目となる。国際線の旅客数は年間700万人増えると国交省は試算している。

新飛行ルートは来年3月29日から運用が始まることが既に決まっている。ただ都心の上空を通過するため、一部の住民の間では騒音や落下物への懸念が根強い。国交省は対策の強化や情報提供を通じて理解を得ていく考えだ。

2019/9/2 14:33
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49294980S9A900C1EA2000/