不動産経済研究所(東京・新宿)が17日に発表した2018年度の首都圏の新築マンション発売は17年度比微減の3万6651戸と、2年ぶりに減少した。都心はマンション建設の用地取得が困難で、人手不足による建設費の高騰もあり平均価格は値上がりが続き、在庫がかさむ。首都圏のマンション市況に頭打ち感が出ている。

同研究所の調査によると、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の18年度の発売戸数は5年前の13年度(5万戸超)に比べ約3割減少。過去最多の00年度(9万5479戸)の半分を下回る。「人気エリアの用地取得が年々厳しくなっている」(松田忠司主任研究員)という。有望な用地である都心や駅周辺の地価が高騰し、人手不足で建築費が高止まりしている。

コスト上昇分は価格に跳ね返る。18年度の平均価格は5926万円と、17年度比微増だが、1990年度以来の高水準。都心・駅近という好立地の物件を中心にここまで値上がりすると平均的な収入の購入検討者にとっては手が届かない。主な購入層は富裕層や、高収入の共働き「パワーカップル」に限られている。

値上がりの原因となっている人手不足などが解消する見通しはなく、当面は価格が高い状況が続く可能性が高いという。19年2月時点の建物完成後も販売を続ける「完成在庫」も3799戸と、14年2月時点(1109戸)の3倍以上にかさむ。販売を始めた月の戸数のうちどれだけ契約に至ったかを示す「初月契約率」も平均で62%と、3年連続の60%台の低水準で推移している。

19年10月の消費増税前の駆け込み需要は「ほとんどみられない」(松田主任研究員)という。19年3月末までの契約分については8%を適用する経過措置があるが、3月の契約率は人気の物件が発売された地域を除き、全体的に7割を超える状況にはならなかった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43841710X10C19A4X12000/