「プチ経験者」歓迎――。人手不足が深刻なIT(情報技術)・介護分野で、未経験者の低時給での求人ラッシュが転機を迎えている。即戦力を求めて若干でも経験・知識のある「プチ経験者」を求める募集が増え、平均時給を押し上げている。

人材サービス大手のエン・ジャパンが20日発表した1月の派遣社員の募集時平均時給は、三大都市圏(関東、東海、関西)で前年同月比2.5%(37円)高い1539円となった。前年同月比で8カ月連続で上昇した。

IT職の時給は、同5.1%増の2195円。昨春まで時給は踊り場だったが、ここに来て上げ幅が急拡大している。「未経験者を受け入れたものの生産性が上がりにくいと見直す企業が昨秋以降増えている」(エン・ジャパンの沼山祥史・派遣会社支援事業部長)ためだ。

代わって増えているのが、エンジニアの実務経験はないが一定のITスキルがある人材の募集。表計算ソフト「エクセル」の高度な活用ができる事務職などだ。時給は2000円程度と、従来の完全な未経験者より300円程度高い。経験ゼロより入社後にエンジニアとして育成しやすいとみていることが背景にある。

介護職は、同4.8%増の1268円だった。「ブランクの長い経験者など実務経験はあまりないが、未経験者より時給の高い求人が増えている」(同)。派遣各社も資格取得を費用補助するなどスキルアップを後押ししている。

同業大手のリクルートジョブズが同日発表した1月の派遣社員の募集時平均時給は、三大都市圏で前年同月比0.2%(3円)高い1657円だった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41496670Q9A220C1QM8000/