【ジュネーブ=共同】世界保健機関(WHO)は5日、2016年に世界の成人(18歳以上)の4人に1人に当たる14億人以上が運動不足とみられ、糖尿病や心臓疾患、認知症などにかかるリスクが高いとの研究結果を発表した。運動不足の人の割合は米国40%、日本36%など高所得国で高かった。性別では男性が23%、女性は32%だった。

 WHO当局者は「長時間労働や交通機関の発達、スマートフォン普及などが人々から運動の機会を奪っている」と指摘、各国政府にインフラ整備など運動不足解消の政策実施を求めた。

 WHOの研究者グループが168カ国・地域の統計などを用いて分析、英科学誌ランセットにも掲載された。

 WHOによると、世界の男性の4人に1人、女性の3人に1人が、健康を保つための十分な運動をしていない。また高所得国での運動不足の割合は、低所得国の2倍以上という。

 WHOは1週間の適切な推奨運動量として、ウオーキングや水泳などの適度な運動なら少なくとも150分、ジョギングやサッカーといった激しい運動だと75分といった基準を設けているが、55カ国で3分の1以上の成人が、この基準に達する運動をしていなかった。

 運動不足の人が最も多かったのはクウェートの67%。ドイツ(42%)、イタリア(41%)など欧米先進国は総じて高めだった。最も少なかったのがアフリカのウガンダとモザンビークの6%。アジア・アフリカの低所得国は低い傾向にあり、中国(14%)、ロシア(17%)も少なかった。
2018/9/5 9:57
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34996890V00C18A9CR0000/