【ワシントン=古賀雄大】日米両政府は9日午後(日本時間10日午前)、閣僚級の貿易協議(FFR)初会合を米ワシントンで開いた。米側は自由貿易協定(FTA)を念頭に2国間交渉を求めたが、日本側は環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰が最善だと主張した。協議は予定を延長し、10日も継続する。協議後、茂木敏充経済財政・再生相が明らかにした。

 日本側が茂木氏、米側は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表がトップを務める。協議は約2時間半にわたり、大半は2人きりで議論した。

 協議後に記者会見した茂木氏は「率直な議論ができた」としたうえで「米国はバイ(2国間)の交渉を進めたい。日本はTPPが日米双方に最善だという立場だ」と述べた。米側が求めているFTA交渉が念頭にあるが、茂木氏によると、ライトハイザー氏はFTAの表現は直接使わず「バイラテラル(2国間の)」と説明したという。

 米が検討している自動車関税の引き上げを巡っては、茂木氏は「具体的な内容は(2日目の協議が)終わった時点で話したい」と述べるにとどめた。牛肉など農産品の市場開放が議題に上ったかどうかも言及を避けた。

 茂木、ライトハイザー両氏は10日も協議を続け、9月にも想定される日米首脳会談で一定の成果を出したい考えだ。今回の協議で米が自動車関税引き上げをちらつかせ、FTA交渉入りを求めてくる懸念もある。日本は来夏に参院選を控え、農業分野で安易な譲歩もできず、難しい判断を迫られるとの見方が出ている。

 米は中国が知的財産の侵害や外国企業に対して強制的な技術移転を求めていることを問題視しており、日本も連携していきたい考えだ。茂木氏は「(日米は)自由主義経済で第一、第二の大国なので、世界経済全体の議論もした」と述べた。

2018/8/10 10:22
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34037470Q8A810C1MM0000/