【シリコンバレー=白石武志】米電気自動車(EV)メーカーのテスラが全従業員の9%を削減する。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が従業員宛てに送った電子メールで明らかにした。削減対象に生産部門の従業員は含まないため、量産化が難航している新型車などの生産目標には影響しないとしている。

マスク氏は従業員宛てのメールの中で、過去数年の急速な成長の過程で生じた役割や職務権限の重複について「かつては意味があったが、今や正当化することはできない」と指摘。「コストを削減し、収益性を改善するために全従業員の約9%を削減する難しい決断をした」と説明した。

テスラの公開資料によると、同社の従業員数は子会社を含め世界で約3万6000人(2017年末時点)。うち26%は製造部門に従事している。マスク氏は今回の人員削減の具体的な数については言及していないが、対象者は3000人規模になる可能性がある。

マスク氏はメールの中で、太陽光発電システムの販売で提携関係にあった米ホームセンター大手、ホーム・デポとの契約を更新しない方針も示した。今後、家庭用の機器についてはテスラの店舗とオンラインでの販売に絞り、ホーム・デポの売り場で働くテスラの従業員については自社の販売店などに配置転換するという。

テスラは17年7月に納車を始めた新型車「モデル3」の生産の自動化が難航し、18年1〜3月期には四半期ベースで過去最大となる7億955万ドル(約780億円)の最終赤字を計上した。現在は一時的に人手を活用するなどして生産台数を徐々に伸ばしており、6月中に週産5000台の生産目標を達成する見通しだとしている。

テスラの人員削減をめぐっては、従業員宛てのメールを入手した米CNBCテレビなどが12日に一斉に報道を始めた。マスク氏は報道を受けてツイッター上に「困難だが必要なテスラの組織再編が進んでいる」と投稿し、メールの全文を公開した。
2018/6/13 4:47
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31695510T10C18A6000000/