流動性は最も必要とされる時に干上がるというトレーダーの格言があるが、
29日のイタリア国債急落はまさに、欧州の主要な債券市場であっても、
この格言から逃れられないことを示した。

  イタリアは総選挙から2カ月余り経過しても新政権発足に至っていない。
こうした中、ポピュリスト政党が再選挙をユーロ残留の是非を問う事実上の国民投票に変えるのではないかとの懸念で、
同国の1兆6000億ユーロ(約200兆円)規模の債券市場では国債利回りが急伸した。

  流動性が細り、積極的なマーケットメーカーが不在となる中、
10年物イタリア国債のドイツ債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は拡大。
一時290ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、2013年7月以来の水準に達した。

  アカデミー・セキュリティーズのマクロ戦略責任者、ピーター・チア氏(ニューヨーク在勤)は
「もはや深い流動性を持つ市場ではない」と指摘。
「誰もがオーバーウエートでイタリア国債をロング(買い持ち)にしており、
値下がりが厄介な価格下落を引き起こした。ボラティリティーがあまりに激しかったので、
リスクマネジャーがポジション縮小を勧めただろう」と説明した。
欧州中央銀行(ECB)が年内に資産購入を終了する可能性も投資家の不安をかき立てたという。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iHToDpk8eA3M/v2/740x-1.png

Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-05-30/P9IQDT6TTDS001