中国スマートフォン(スマホ)最大手、華為技術(ファーウェイ)で端末事業を統括する余承東(リチャード・ユー)コンシューマー向け端末事業グループ最高経営責任者(CEO)は26日、日本経済新聞社などの取材で、「この1〜2年で(アップルを抜き)早ければ2位になれる」と話した。世界首位のサムスン電子を抜くには「4〜5年かかる」との見通しを示した。主なやり取りは以下の通り。

■不足しているのはブランド
 ――華為技術は2017年のスマホ出荷台数で世界3位です。サムスンやアップルにない強みは何ですか。

 「もともと通信機器事業から事業を始め、世界中にネットワークを持つなど通信事業への理解があることだろう。システムのデザインからハードウエア製造まで最新技術をすぐに実現できる。フランスや英国にも拠点を立ち上げ、工業デザインに優れている」

 「さらに言うなら、欲張りでないところ。パートナー企業と共にもうけが出るような仕組みを取っている。だから我々の利益率は高くない。部品メーカー、製造現場、販売部門の提携先が利益が出るように考え、将来的な発展につなげている」

 ――アップル、サムスンを抜くのはいつか。

 「期間が早まったり延びたりはするだろうが、この1〜2年で(アップルを抜き)早ければ2位になれる。1位になるためには4〜5年かかる」

 ――1位になるために華為技術には何が不足していますか。

 「ブランディングだ。これからは信頼されるブランドにしないといけない。常に革新的なサービスを提供することで優位性を保ち、ライバルよりも優れた新製品を継続して発売していく。常にチームメンバーにチャレンジングな目標を掲げさせている。社員の闘志をかきたて、不可能なことをやりとげていく」

 「米国企業(アップル)に見習うべきところもある。コンテンツ販売などの新しいビジネスモデルを構築しており、ソフトウエアの革新性も高い。(サムスンなど)アジアの企業はメモリーやディスプレー部品をはじめ強固なサプライチェーンを構築しており、ノウハウもある」

■米国締めだし「理解できない」
 ――米通信大手のAT&Tがファーウェイのスマホの販売契約を撤回するなど、スマホの主要な市場である米国で端末を販売できない状況が続いています。それでも1位になれますか。

 「例えば日本の通信事業者とはよい関係を築いている。一方、米国市場ではライバルがファーウェイに恐れをなし、政治力を使っているのではないか。170カ国以上でスマホを販売しているが、たった1つの国(米国)からだけ問題があると言われているのが理解できない。問題視しているところがあれば明確に指摘してもらえれば反論のしようがある」

 「ファーウェイはあくまでもグローバル企業であり、年間の売上高のうち60%は中国以外の市場が占める。ファーウェイも設立から30年がたつ。私は入社して25年だが、入社当時は中小企業のようなものだった。会社とともに歩んできたが、特定の団体や政治組織とは関係を持たなかったし、これからもしない。企業統治の手法も現代的だ。どの国に進出しても政治的な案件に関わることはしない」

 ――世界市場で打つべき次の一手は何ですか。

 「衣食住、様々な場面で(ファーウェイ製品が使われることで)顧客のニーズを満たしていく。スマホ、タブレット、車載製品、スマートホームなど全てを提供し、自社のアカウントとひもづけたクラウドサービスを使ってもらうことだ」

 ――スマホ市場は成熟しつつあります。どういう進化を遂げると考えますか。

 「AI(人工知能)による進化は間違いなく進むだろう。スマホのカメラもさらに技術革新を進める。3月27日にパリで発表するフラッグシップ機『P20』は米韓メーカーより大幅に性能が勝るものとなるだろう」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27455470X20C18A2000000/