三菱航空機(愛知県豊山町)は、6日開幕のアジア最大の航空見本市「シンガポール・エアショー」で、国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の実機展示を見送ることが2日、分かった。難航している機体開発を優先する。航空機業界では再編が進みつつあり、競争環境に逆風が吹いている。

 MRJはこれまで納期を5度延期し、開発コストは当初の3倍の5千億円ともいわれる。水谷久和社長は2020年半ばの初納入に向けて「今は開発に専念する」としている。昨年6月のパリ国際航空ショーでは実機を披露したが、受注は増えていない。

 昨年12月には米航空機大手ボーイングが、MRJの最大の競合相手であるブラジルのエンブラエルと買収交渉を行ったと報じられた。欧州の航空機大手エアバスはカナダ・ボンバルディアの小型機事業への出資を決めており、業界が二大陣営に集約される可能性がある。

 ボーイングは、親会社の三菱重工業にとって大型機の主翼や胴体部品を納める大口取引先だ。三菱航空機も国の安全性認証の取得に向け技術的な助言を受け良好な関係を保ってきた。

 しかし、ボーイングがライバルのエンブラエルの後ろ盾になれば、三菱航空機は孤立しかねない。エンブラエルはMRJと同じ低燃費エンジンを搭載した新型機「E2」を18年以降に投入する予定だ。

 三菱航空機は今年に入り、経営不振だった米イースタン航空の40機の契約解消が確定したと明らかにした。他の航空会社からの残る407機のうち、約半数はキャンセル可能な契約となっている。
http://www.sankei.com/west/news/180202/wst1802020078-n1.html