2022.03.29 20:00 米村 智水

https://kai-you.net/press/img/027d0f2f1ef4648e6743a01d6856b52d.jpg

他者の著作物を無断でトレース(なぞり描き)し、盗作する行為を意味する言葉「トレパク」。

この語は10年以上前から存在し、イラストレーターやクリエイターのコミュニティではかねてより知られ、禁忌として扱われ続けてきた。

しかし、2022年2月に音楽ユニット・YOASOBIのクリエイティブ等で知られる有名イラストレーター・古塔つみさんが、他者の写真を無断でトレースしていたという疑惑が大きく報じられ、広く世間にも知られる言葉となった。古塔つみさんは謝罪を行ったものの「トレパク」ではなく「オマージュ」だとして説明。批判は続いている。

続いて、3月にはホロライブ所属のVTuber・桃鈴ねねさんが自作するイラスト等に他者著作物のトレースが発覚。「好きな作家さんや作品を思い浮かべることがあった」と弁明したものの、一部トレースがあったことを謝罪した。

ポップカルチャー全盛の現在、コミックテイストのイラスト作品は様々な媒体やプロダクト、広告を彩っている。SNSを通じてイラストレーターという職業自体への憧れや注目度も上がり、今やある種のタレントのような影響力を持つまでになった。

しかし、様々な作品に触れる機会が増える中で、我々はイラストの正しい知識や見識、あるいは「トレパク」のリスクの大きさを理解しているだろうか。誰もが著作物をインターネット上にアップすることが当たり前になった今、次の盗作騒動に巻き込まれるのは自分かもしれない。

なぜ「トレパク」は発生してしまうのか? ”模写”や”オマージュ”や”二次創作”との違いは何か? そもそも問題の本質は何なのか。

今回、長年第一線で活躍するイラストレーター・中村佑介さんへ取材を行った。若手クリエイターとの交流も積極的に行い、
森見登美彦さんの書籍やASIAN KUNG-FU GENERATIONのCDジャケットをはじめとする作品の数々は、多くのクリエイターに影響を与え続けている。その視座から見据えてきた、クリエイティブの倫理とは。

https://kai-you.net/article/83166