行田市消防本部で上司から退職を強要されてうつ病になったとして公務災害の認定を受けた
同市の30代男性消防士長が、同市に慰謝料など約1117万円の支払いを求め、
さいたま地裁に提訴した。

原告側は11日、さいたま市内で記者会見し、
男性は現場出動や訓練すらさせてもらえない現状を述べた上で
「消防士になりたかったので、パワハラで仕事をやめたくないが、もう我慢の限界。
 現場に行って頑張りたい思いをずっと持っている」と職場での対応改善を求めた。

提訴は5日付。

訴状などによると、男性は2011年7月ごろから消防長らに、
1年間で全ての仕事ができるようにならなければ退職する内容の誓約書を提出させられたり、
約8カ月にわたって毎日できなかったことだけを書く日報を出すように命令された。

11年5月、男性が勤務外でアキレス腱(けん)を断裂した際には、
消防長に「おまえに消防士として先はない」「けがで3カ月も休むやつがあるか」
「辞表を持ってこい」などと叱責されたという。

男性は13年10月、うつ病と診断されて16年4月まで休職した。
リハビリ期間を経て同年7月に復帰後も、効果測定で低い評価を下して現場出動をさせなかったり、
公務災害の審査請求を取り下げるように強要したとしている。

この問題では、地方公務員災害補償基金県支部が今年1月、
消防長らの退職強要や嫌がらせによりうつ病になったとして、男性の公務災害を認定した。
市は同年4月、消防長を訓告処分としていた。

男性は会見で、11年5月から現場に出ておらず、16年7月から訓練もさせてもらえない状況を吐露。
パソコンの上にペンが乗っていたなどささいな事柄を捉えられ、
これまでに十数回の顛末(てんまつ)書や始末書を書かされたという。

「一番の苦痛は、うつ病の診断書を消防長に持っていったら、
 80分ぐらい『辞めろ』と言われ続けたこと。
 こういうことが行田市で二度と起こらないようにしてほしい」と訴えた。

原告代理人の山元勇気弁護士は
「組織ぐるみで行われたパワハラの違法性を認めて欲しい。
 消防士として現場に行かせてもらえない屈辱的状況を打破したい」と述べた。

市は「訴状の内容を確認していないのでコメントは差し控えたい」としている。

写真:記者会見する原告の男性消防士長(中央)ら
http://www.saitama-np.co.jp/news/2017/10/12/01.jpg

以下ソース:埼玉新聞 2017年10月11日(水)
http://www.saitama-np.co.jp/news/2017/10/12/01_.html