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 ホンダは排気量50ccの小型バイク「モンキー」の生産を8月で終了します。1967年の発売開始以来、66万台を売ったロングセラー商品ですが、50年目にして生産中止となってしまいました。背景にあるのは深刻なバイク離れと排ガス規制の流れです。

 モンキーは、当初、東京都日野市にあった遊園地「多摩テック」の乗り物として企画され、子供たちの人気を博しました。世間の注目を集めたことから、1967年には公道を走れる初代モデルが製品化されました。小さくユーモラスな外見ですが、シンプルで堅牢な作りになっています。50ccのバイクとしては珍しく変速装置(トランスミッション)が搭載されていますから、運転そのものを楽しむことができます。発売開始以来、ほとんどデザインを変えることなく現在まで生産・販売が続けられてきた珍しい製品といってよいでしょう。

 ところがホンダは今年3月、モンキーの生産を終了することを明らかにし、6月には最終モデルとなる「モンキー・50周年スペシャル」を発表しました。これは500台限定のモデルで、この製品をもってモンキーの生産・販売は終了となります。

 ホンダがモンキーの生産を終了するのは、バイク市場の縮小と相次ぐ排ガス規制です。日本自動車工業会の調査によると2016年の生産台数(50cc以下)は10万台を切る9万9319台でした。2000年には64万台の生産がありましたから、まさに激減といってよいレベルでしょう。二輪車ユーザーの平均年齢が50歳を超えているというデータもあることを考えると、バイクはもはや高齢者の乗り物となってしまった感があります。ここまで市場が縮小してしまうと、メーカーにとっても製品ラインナップを維持するのは難しくなってきます。

 生産中止の直接的な原因となったのは排ガス規制の強化だと言われています。2015年に施行された最新の排ガス規制では、二輪車の規制がかなり強化され、欧州の規制基準であるEURO4とほぼ同じ内容となりました。技術的に対応することは難しくありませんが、そのためにはコストがかかります。生産台数の増加が見込めない中、規制対応の追加投資は困難と判断された可能性が高いでしょう。

 ちなみにバイクの市場が縮小する一方、電動アシスト自転車の市場は拡大しています。2016年の出荷台数は54万台となっており、10年で2倍以上となりました。