世界のワクチン開発競争に日本が「負けた」理由

<ファイザーとモデルナのワクチン治験が最終段階に入るなか、日本がワクチン開発競争に出遅れたのは必然だった。キーパーソンへの取材で見えてきたこの国の障壁とは。本誌「日本人が知らないワクチン戦争」特集より>

 トランプは米食品医薬品局(FDA)長官にワクチンの承認を急がせてきたが STEFANI REYNOLDSーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

 新型コロナウイルスのワクチン開発で、日本はなぜ出遅れたのか。開発の先頭集団を走る欧米や中国の製薬企業は臨床試験の最終段階の途上にあり、早ければ10月末にも試験の結論を得て年内承認の可能性もある。
 対する日本はといえば1社が第1/2段階に進んだが、多くの臨床試験入りはこれからだ。【広野真嗣(ノンフィクション作家)】

 日本政府の姿勢は「海外頼み」に映る。
 米国のファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカとの間で計2億8000万回分の購入について基本合意に達するか、あるいは交渉を進める。
 その調達のための、6714億円という巨額の支出はあっさり閣議決定された。

 健康被害の責任は日本側が負うという、海外メーカーの条件も丸のみを強いられた。
 だが、なぜ最初からそんな不利な状況に追い込まれているのか――。

 国内で開発の先頭を走るバイオ製薬企業アンジェスの創業者、森下竜一と会ったのは9月初旬のこと。
 森下は医師で大阪大学寄附講座教授でもある。
 都内のホテルで会うと、諦めと不満を口にした。

 「国産ワクチンを買い取ると政府が先に表明していれば、海外勢から価格を引き下げたり好条件を引き出したりする交渉ができたはずなのに」

(以下略、続きはソースでご確認下さい)

ニューズウィーク日本版 11/17(火) 17:49
https://news.yahoo.co.jp/articles/533bbdb3e43938204e00bf4d12415417eb660a2e