自閉症、こだわりの強さと感覚症状が神経基盤共有 理化学研究所、研究チームの成果公表
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2019年06月20日 15:20
医療介護 CBnews

 理化学研究所(理研)は19日、同研究所脳神経科学研究センター高次認知機能動態研究チームの渡部喬光副チームリーダーらの国際共同研究チームが、
 高機能自閉症スペクトラム(ASD)の感覚症状と高次認知機能症状の共存に関する神経学的基盤の一端を解明したと発表した。
  「感覚過敏から社会性の障害、強いこだわりまで、さまざまな症状を同時に呈するASDの統一的理解を加速させ、より包括的な診断や治療法開発の端緒になる」
 などとしている。【新井哉】

 ASDは、コミュニケーションの困難さやこだわりの強さなどを特徴とする発達障害の1つ。
 こうした中核症状に加え、近年は、ほぼ認められる感覚症状も注目されている。
 しかし、比較的シンプルな情報処理に関わる感覚症状と、コミュニケーションなど複雑で高次な脳機能の症状について、なぜ「同居」しているのかは明らかになっていなかった。

 研究チームは、新しい心理課題を用いることで、高機能ASDの人に見られる感覚症状の1つ(視覚の非柔軟性)が、
 高次認知機能が関わる中核症状の1つ(こだわりの強さ)と関連していることを発見した。

 さらに、解剖学的磁気共鳴画像法を用いることで、この感覚症状と高次認知機能症状が右後上頭頂葉領域を神経基盤として共有しており、
 その脳部位の灰白質がASDの人では減少しているため、この2つの症状が共存できている可能性があることを突き止めたという。
 研究の成果は、米国の科学雑誌「The Journal of Neuroscience」(6月18日付)に掲載された。