>>30
影響が大きかったのが、古代首長層による「再分配機能」の喪失だろうね。
ある意味、それまでは首長も民衆も地域の共同体に埋没した存在だったのが、
精神的、経済的にそこから抜け出た存在が出現した。

民衆の側も、自らが運営する共同体を喪失してしまうものの、「富豪の輩」に
隷属してしまった方が楽だ、という判断も出てきたのかもしれない。

この10世紀から12世紀にかけてというのは、貨幣を介在しない商業経済が
列島社会に胚胎してくる時代と言っていいんじゃないかと思う。

その後、13世紀に日元貿易によって一気に大量の銅銭が日本列島に導入されると、
既に胚胎していた商業経済を背景に貨幣経済が爆発的に普及してくる。

そうすると、「富豪の輩」の末裔の名主層に隷属していた民衆が、自ら少しずつ
銅銭を蓄えることで自前の農具などを手に入れることができるようになり、
14世紀末にはじまる一揆契約ベースの「村」共同体や「町」共同体の結成に向かう事になる。
あなたのご専門の近世社会の萌芽だよね。