世界三大珍味の一つとされる高級食材のトリュフ。あまり知られていないが、国内にも自生しているキノコだ。国産のトリュフを栽培して商品化につなげようと、熊本県や茨城県で技術開発が進められている。

 国産トリュフを研究しているのは、森林総合研究所九州支所(熊本市)の木下晃彦・主任研究員らのグループ。木下さんが袋から黒っぽい丸い固まりを取り出すと、周囲に強い香りが広がった。大分で採取されたトリュフという。強い香りはシイタケやニンニクなどにたとえられることもあるが、ノリのつくだ煮のような海産物の香りがした。

 木下さんによるとトリュフは欧米や中国など北半球に分布する。料理に使われるのは主に欧州産の白トリュフ(シロセイヨウショウロとも呼ばれる)だが、世界で約80種が確認されている。DNAを詳しく調べれば180種以上になる。国内では1976年に鳥取で確認されて以来、北海道から宮崎までの林などで20種が見つかっている。

 世界中で高級食材として売買されているが、欧州や豪州、南アフリカなどでは人工栽培もされている。森林総研は2015年に森林資源の活用策の一つとして研究をスタートさせた。海外での栽培方法が日本で応用できるのか、どんな土壌環境が適しているのかなどを探っているところだ。

 着目しているのは、高級食材の白トリュフや黒トリュフとは別種で、日本でしか見つかっていないイボセイヨウショウロとホンセイヨウショウロ。昨年、栃木県や岡山県などで採取し、胞子を付けた苗木を茨城県つくば市の圃場(ほじょう)に植えた。今冬には熊本市でも植え付ける。食べられる部分ができるまでに7年はかかるとされており、「気の長い話だが、商品化につなげられれば」と話す。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20181221000996_commL.jpg
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20181221000993_comm.jpg

朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASLDP32YQLDPTIPE003.html