マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が、イオン化した空気を利用して推進力を得ることができる飛行機を開発しました。プロペラを回転させたりジェットエンジンを使わずに飛ぶことができるようになり、騒音がほとんど発生しないというメリットがあります。

MIT engineers fly first-ever plane with no moving parts | MIT News
http://news.mit.edu/2018/first-ionic-wind-plane-no-moving-parts-1121

An Airplane With No Moving Parts - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/cars-that-think/transportation/air/an-airplane-with-no-moving-parts

MITの研究者チームが開発した飛行機の機体はこんな感じ。昔懐かしい複葉機のような外観を持ち、翼のボックス状に見える部分には高電圧を利用してイオンを発生させて推力を得るイオン推進器が組み込まれています。機体の重量はわずか2kg程度に抑えられています。

実際にこの飛行機が飛ぶ様子はこんな感じ。ゴムを使ったカタパルトから打ち出された機体は、そのままスイーッと飛んで約60メートル先まで飛んだとのこと。

出力500ワットのリチウムイオン電池を搭載し、昇圧器を使って2万ボルトの電圧を作り出します。その電圧を翼の先端にある電極に加えると空気中の窒素がイオン化し、後方にあるマイナス電極に引き寄せられます。このイオンの加速運動の反作用で機体には逆向きの推進力が加えられ、その力を利用して機体は飛ぶ力を得ることができます。

イオン推進器そのものの歴史は古く、約100年前の1917年には世界で最初の実証実験がロバート・ゴダードによって行われているとのこと。すでに宇宙開発の分野でイオン推進器は実用化されており、日本の小惑星探査機「はやぶさ」の推進器としても採用されていました。

地上でイオン推進器を使って飛行機を飛ばす研究はまだ始まったばかりであり、実用化までにはまだまだ多くの研究を重ねる必要があります。MITのスティーブン・バレット准教授は「この機体は、イオン飛行機が実際に飛べることを実証するための最小限のものです」「実際に有用な飛行機が生まれるまでには、まだまだやることがあります。より効率的に、もっと長く、そして屋外で飛べるようにする必要があります」と述べています。


実際にイオン飛行機が飛んでいる様子は、以下のムービーで見ることができます。
https://i.gzn.jp/img/2018/11/22/mit-ion-drive-plane/00_m.jpg
http://news.mit.edu/sites/mit.edu.newsoffice/files/images/motorless-plane-2.gif

Ion drive: The first flight
https://youtu.be/boB6qu5dcCw

https://gigazine.net/news/20181122-mit-ion-drive-plane/