夏場のトマトのハウス栽培にヒートポンプ式空調機の冷房・除湿機能を使えば生産量が37%増え、
収益も上がるとの研究結果を東北電力がまとめた。東日本大震災以降、宮城、福島両県の被災農地で
大型ハウスによるトマト栽培が広がっており、収益アップへ活用を呼び掛ける。
 高温になる夏場はトマトの生育が悪く、ハウス栽培は7、8月に休み、8月中旬以降に苗を植える。
このため露地栽培のトマトの出荷量が落ち着き、価格が高まる9、10月に出荷できないのが課題だった。
 東北電はあかい菜園(いわき市)と連携し、7月上旬に苗を植え、7月中旬〜9月上旬の夜中に
ヒートポンプの冷房・除湿機能を使って生育状況を3年間にわたり検証。使わなかった場合に比べ
9〜11月の生産量が37%増えたほか、夏場に起きやすい高温障害も抑制された。
 50アールのハウス栽培で冷房を2カ月使った費用(約50万円)を差し引いても、9〜11月の
収益は122万円アップした。あかい菜園は今年から「冷房栽培」を本格導入している。
 冷房・湿度設定は室温20度、湿度90%が最も効果的だという。東北電研究開発センターの
四方田淳主幹研究員は「ヒートポンプの冷房効果が裏付けられ、ハウスでの周年栽培に道筋が付いた」と話す。
 ヒートポンプ式空調機は現在、新潟を含む東北7県のトマトを含むハウス栽培に
1万5000キロワット分(約1700台)導入され、冬場の暖房に使われている。
 トマトは大型ハウスでの養液栽培に適していることに加え、通年で安定した需要があり、
被災農地で盛んに栽培されている。宮城県はイチゴなどと並ぶ主力品種と位置付け、栽培を奨励している。


河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201706/20170603_72029.html