日本の未来とアンパンマンについて語るスレ [転載禁止]©2ch.net

[0001 名無し職人 2014/11/08(土) 18:58:13.27]

最近イスラム国だのなんだのと言っているが、日本は生き残れるのだろうか

食パンマン様かっけぇ

[0952 名無し職人 2018/01/19(金) 06:09:06.63]

その時我々はもう頂いただき近くにいた。

[0953 名無し職人 2018/01/19(金) 06:09:22.59]

ここいらへも砲丸たまが飛んで来たんでしょうなと聞くと、ここでやられたものは、多く味方の砲丸自身のためです。

[0954 名無し職人 2018/01/19(金) 06:09:38.53]

それも砲丸自身のためと云うより、砲丸が山へ当って、石の砕けたのを跳はね返かえしたためです。

[0955 名無し職人 2018/01/19(金) 06:09:54.49]

こう云う傾斜のはなはだしい所ですから、いざと云う時に、すぐ遠くから駆かけ寄せて敵を追おい退のける訳に行きませんので、みんなこう云うところへ平たくなって噛かじりついているのであります。

[0956 名無し職人 2018/01/19(金) 06:10:10.44]

そうして味方の砲丸が眼の前へ落ちて、一度に砂煙すなけむりが揚あがるとその虚きょに乗じて一間か二間ずつ這はい上がるのですから、勢い砂煙に交まじる石のために身体中創きずだらけになるのです。

[0957 名無し職人 2018/01/19(金) 06:10:26.40]

と市川君は詳しい説明を与えられた。

[0958 名無し職人 2018/01/19(金) 06:10:42.36]

味方の砲弾たまでやられなければ、勝負のつかないような烈はげしい戦いくさは苛過つらすぎると思いながら、天辺てっぺんまで上のぼった。

[0959 名無し職人 2018/01/19(金) 06:10:58.28]

そこには道標どうひょうに似た御影みかげの角柱かくちゅうが立っていた。

[0960 名無し職人 2018/01/19(金) 06:11:14.20]

その右を少しだらだらと降りたところが新あらたに土を掘返したごとく白茶しらちゃけて見える。

[0961 名無し職人 2018/01/19(金) 06:11:30.14]

不思議な事にはところどころが黒ずんで色が変っている。

[0962 名無し職人 2018/01/19(金) 06:11:46.11]

これが石油を襤褸ぼろに浸しみ込こまして、火を着けて、下から放ほうり抛なげたところですと、市川君はわざわざ崩くずれた土饅頭どまんじゅうの上まで降りて来た。

[0963 名無し職人 2018/01/19(金) 06:12:02.08]

その時遥はるか下の方を見渡して、山やら、谷やら、畠はたけやら、一々実地の地形について、当時の日本軍がどう云う径路けいろをとって、ここへじりじり攻め寄せたかをついでながら物語られた。

[0964 名無し職人 2018/01/19(金) 06:12:18.04]

不幸にして、二百三高地の上までは来たようなものの、どっちが東でどっちが西か、方角がまるで分らない。

[0965 名無し職人 2018/01/19(金) 06:12:33.95]

ただ広々として、山の頭がいくつとなく起伏している一角に、藍色あいいろの海が二カ処ほど平ひらたく見えるだけである。

[0966 名無し職人 2018/01/19(金) 06:12:49.84]

余はただ朗かな空の下に立って、市川君の指さす方かたを眺ながめていた。

[0967 名無し職人 2018/01/19(金) 06:13:05.76]

自分でここへ攻め寄せて来た経験をもっている市川君の話は、はなはだ詳しいものであった。

[0968 名無し職人 2018/01/19(金) 06:13:21.76]

市川君の云うところによると、六月から十二月まで屋根の下に寝た事は一度もなかったそうである。

[0969 名無し職人 2018/01/19(金) 06:13:37.69]

あるときは水の溜たまった溝みぞの中に腰から下を濡ぬらして何時間でも唇くちびるの色を変えて竦すくんでいた。

[0970 名無し職人 2018/01/19(金) 06:13:53.59]

食事は鉄砲を打たない時を見計みはからって、いつでも構わず口中に運んだ。

[0971 名無し職人 2018/01/19(金) 06:14:09.55]

その食事さえ雨が降って車の輪が泥の中に埋うまって、馬の力ではどうしても運搬うんぱんができなかった事もある。

[0972 名無し職人 2018/01/19(金) 06:14:25.47]

今あんな真似まねをすれば一週間経たたないうちに大病人になるにきまっていますが、医者に聞いて見ると、戦争のときは身体からだの組織そしょくがしばらくの間に変って、全く犬や猫と同様になるんだそうですと笑っていた。

[0973 名無し職人 2018/01/19(金) 06:14:41.40]

市川君は今旅順の巡査部長を勤めている。

[0974 名無し職人 2018/01/19(金) 06:14:57.37]

旅順の港は袋の口を括くくったように狭くなって外洋に続いている。

[0975 名無し職人 2018/01/19(金) 06:15:13.31]

袋の中はいつ見ても油を注さしたと思われるほど平らかである。

[0976 名無し職人 2018/01/19(金) 06:15:29.24]

始めてこの色を遠くから眺めたときは嬉しかった。

[0977 名無し職人 2018/01/19(金) 06:15:45.20]

しかし水の光が強く照り返して、湾内がただ一枚に堅く見えたので、あの上を舟で漕こぎ廻って見たいと云う気は少しも起らなかった。

[0978 名無し職人 2018/01/19(金) 06:16:01.11]

魚を捕とる料簡りょうけんは無論無かった。

[0979 名無し職人 2018/01/19(金) 06:16:17.06]

露西亜ロシアの軍艦がどこで沈没したろうかなどと思い浮かべる暇も出なかった。

[0980 名無し職人 2018/01/19(金) 06:16:32.98]

ただ頭へぴかぴかと、平たい研とぎ澄すましたものが映った。

[0981 名無し職人 2018/01/19(金) 06:16:48.91]

余は大和やまとホテルの二階からもこの晴やかな色を眺めた。

[0982 名無し職人 2018/01/19(金) 06:17:04.85]

ホテルの玄関を出たり這入はいったりするときにもこの鋭い光の断片に眼を何度となく射られた。

[0983 名無し職人 2018/01/19(金) 06:17:20.78]

それでも単に烈はげしい奇麗きれいな色と光だなと感ずるだけであった。

[0984 名無し職人 2018/01/19(金) 06:17:36.67]

佐藤から港内を見せてやるからと案内されるまでは、とうてい港内は人間の這入るところではないくらいに、頭の底で、無意識ながら分別していたらしい。

[0985 名無し職人 2018/01/19(金) 06:17:52.60]

さあ行くんだと催促された時は、なるほど旅順に来る以上、催促されなければならんはずの場処へ行くんだと思った。

[0986 名無し職人 2018/01/19(金) 06:18:08.57]

今日の同勢は朝大連から来た田中君を入れて五人である。

[0987 名無し職人 2018/01/19(金) 06:18:24.55]

港務部を這入はいるときに水兵がこの五人に礼をした。

[0988 名無し職人 2018/01/19(金) 06:18:40.46]

兵隊に礼をされたのは生れてこれが初はじめてであった。

[0989 名無し職人 2018/01/19(金) 06:18:56.41]

佐藤が真先に中へ這入って、やがて出て来たから、もう舟に乗れるのかと思ったら、おい這入れ這入れという。

[0990 名無し職人 2018/01/19(金) 06:19:12.34]

我々は石垣の上に立っていた。

[0991 名無し職人 2018/01/19(金) 06:19:28.30]

足元にはすぐ小蒸気こじょうきが繋つないである。

[0992 名無し職人 2018/01/19(金) 06:19:44.28]

我々の足は、家の方より、むしろ水の方に向いていた。

[0993 名無し職人 2018/01/19(金) 06:20:00.21]

十分の後のち五人はまた河野中佐こうのちゅうさといっしょに家を出てすぐ小蒸気に移った。

[0994 名無し職人 2018/01/19(金) 06:20:16.18]

海軍の将校が下士や水兵を使うのは実に簡潔明瞭めいりょうである。

[0995 名無し職人 2018/01/19(金) 06:20:32.11]

船は河野中佐の云いなり次第の速力で、思う通りの方角へ出た。

[0996 名無し職人 2018/01/19(金) 06:20:48.05]

港の入口ではここかしこの潜水器へ船の上から空気を送っている。

[0997 名無し職人 2018/01/19(金) 06:21:03.94]

船の数は十艘そう近くあった。

[0998 名無し職人 2018/01/19(金) 06:21:19.88]

みんな波に揺られて上あがったり下さがったりしている。

[0999 名無し職人 2018/01/19(金) 06:21:35.81]

我々五人のも固もとより平たいらではない。

[1000 名無し職人 2018/01/19(金) 06:21:51.78]

鏡のように見えた湾の入口がこうまで動いているとは思いがけなかった。