・マスクが着用できない自閉症児を搭乗拒否…航空会社に賛否

 旅客機内で、自閉症の男児がマスクを着けるのを嫌がって騒ぎに。機長の判断で、男児とその家族が飛行機を降ろされて……米国で起きたそんな出来事が論議を呼んでいる。

 米地方テレビ局ABC13(8月11日付電子版)などによると、テキサス州ヒューストン郊外に住むアリッサ・サドラーさんは先日、3歳の息子と1歳の娘を連れて、約500キロほど離れた同州ミッドランドに単身赴任している夫に会いに行った。

 8月10日の朝、サウスウエスト航空の旅客機に乗ってヒューストンに帰ろうとした時のこと。旅客機がゲートから離れ、空港内をタクシングしていた時、アリッサさんの息子がマスクをしていないことに、客室乗務員が気づいた。

 息子は自閉症で感覚統合障害(SPD)があり、マスクはもちろん、眼鏡など顔に何かが接触するのに耐えられないという。実際、その時もマスクを着けさせようとしたが、息子は泣き叫んで拒否したという。

 アリッサさんは医師から診断書ももらっていて、客室常務員にそれを見せて説明したが、受け入れられなかった。

 機長も「2歳未満の幼児を除いて、機内ではマスク着用が航空会社の規則」の一点張りで、飛行機をゲートに戻し、アリッサさん一家を降ろしたという。

 アリッサさんはこう語った。「マスクに関する規則に反対しているのではありません。私もどこに行くのにもマスクをしています。それが問題ではないんです。でも、マスクを着用できない障害がある場合は、例外を認めてもよいのではないでしょうか」

 実際、ヒューストンからミッドランドに行く際もサウスウエスト機に乗ったが、その時は問題なく乗せてもらえた。

 サウスウエスト航空は、同社の規則について、ネットで予約する時も、予約確認などの搭乗前のメールにも明記している主張。ウイルス感染拡大防止のために、マスクをしない2歳以上の乗客を乗せることはできない、と主張している。

 このニュースはさまざまな論議を呼んでいる。

「SPDは身体障害のひとつで、サウスウエストの対応は身体障害者に対する差別だ」「このケースは例外を認めてもよかったんじゃないかな」などと、アリッサさんを支持する意見もある。

 その一方で、「例外を認めれば、なし崩しになり、感染防止ができない」「子どもを甘やかしているだけ」などという意見もあった。

・Mom says Southwest Airlines kicked toddler son off flight over mask
https://abc13.com/southwest-airlines-policy-face-mask-masks/6364160/

・Southwest, American tighten mask rules; Delta widens testing
https://abcnews.go.com/Business/wireStory/southwest-tightens-face-mask-rule-delta-steps-testing-71946376

2020/08/13 06:00 日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/277224