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■■■■■ アンパンマン総合スレッド ■■■■■
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2018/08/19(日) 17:22:19.18ID:m58EUO5R
アンパンマン総合スレッド立てました。
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2018/08/20(月) 01:25:04.15ID:K4r6F/a9
海は今青きをしばたゝき静に夜を待てるならじか
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2018/08/20(月) 01:25:06.84ID:8f8dtdLU
僕はそこで酒をすすめられた。
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2018/08/20(月) 01:25:19.86ID:K4r6F/a9
君が家の緋の房長き燈籠も今かほのかに灯しするらむ
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2018/08/20(月) 01:25:22.70ID:8f8dtdLU
元來下戸だから、酒の善惡は更にわからない。
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2018/08/20(月) 01:25:35.57ID:K4r6F/a9
都こそかゝる夕はしのばるれ愛宕ほてるも灯をやともすと
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2018/08/20(月) 01:25:38.45ID:8f8dtdLU
が、二三杯飮むとすぐ顏が熱くなつた。
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2018/08/20(月) 01:25:51.36ID:K4r6F/a9
黒船のとほき灯にさへ若人は涙落しぬ恋の如くに
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2018/08/20(月) 01:25:54.23ID:8f8dtdLU
すると僕の隣へ來て、「二十年前の日本と今日の日本とは非常な相違です」
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2018/08/20(月) 01:26:07.19ID:K4r6F/a9
幾山河さすらふよりもかなしきは都大路をひとり行くこと
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2018/08/20(月) 01:26:10.13ID:8f8dtdLU
その人はシイメンのタイプに屬さない、甚だ感じの好い顏をしてゐた。
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2018/08/20(月) 01:26:22.89ID:K4r6F/a9
憂しや恋ろまんちつくの少年は日ねもすひとり涙流すも
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2018/08/20(月) 01:26:25.88ID:8f8dtdLU
さうしてその顏がまつ赤になつてゐた。
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2018/08/20(月) 01:26:38.60ID:K4r6F/a9
かなしみは君がしめたる其宵の印度更紗の帯よりや来し
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2018/08/20(月) 01:26:41.67ID:8f8dtdLU
何でも國防計畫か何かを論じてゐるらしい。
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2018/08/20(月) 01:26:54.40ID:K4r6F/a9
二日月君が小指の爪よりもほのかにさすはあはれなるかな
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2018/08/20(月) 01:26:57.52ID:8f8dtdLU
僕はいい加減に「さうでせう」
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2018/08/20(月) 01:27:10.30ID:K4r6F/a9
何をかもさは歎くらむ旅人よ蜜柑畑の棚によりつゝ
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2018/08/20(月) 01:27:13.25ID:8f8dtdLU
とか何とか尤もらしい返事をした。
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2018/08/20(月) 01:27:26.06ID:K4r6F/a9
ともしびも雨にぬれたる甃石も君送る夜はあはれふかゝり
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2018/08/20(月) 01:27:29.16ID:8f8dtdLU
それは僕がですな、僕が確に保證します。
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2018/08/20(月) 01:27:41.78ID:K4r6F/a9
ときすてし絽の夏帯の水あさぎなまめくまゝに夏や往にけむ
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2018/08/20(月) 01:27:44.92ID:8f8dtdLU
いいですか、確にですな。」
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2018/08/20(月) 01:27:57.57ID:K4r6F/a9
うら若き都人こそかなしかりけれ。
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2018/08/20(月) 01:28:00.65ID:8f8dtdLU
と、その人は、醉はない者にはわからない熱心さを以て、僕の杯と自分の杯とに代る代る酒をつぎながら、大分獨りで氣焔をあげた。
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2018/08/20(月) 01:28:13.28ID:K4r6F/a9
失ひし夢を求むと市を歩める。
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2018/08/20(月) 01:28:16.42ID:8f8dtdLU
が、生憎僕もさつきから、醉はない者には解らない眠氣に襲はれてゐた所だから、聞いてゐる中にだんだん返事も怪しくなつて來た。
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2018/08/20(月) 01:28:28.98ID:K4r6F/a9
橡の花もひそかにさけるならじか。
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2018/08/20(月) 01:28:32.19ID:8f8dtdLU
それがどうにか、かうにか、會話らしい體裁を備へて進行したのは、全く僕がイエスともノオともつかない返事をして、巧に先方の耳目を瞞著したおかげである。
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2018/08/20(月) 01:28:44.70ID:K4r6F/a9
夢未多かりし日を思ひ出でよと。
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2018/08/20(月) 01:28:47.95ID:8f8dtdLU
その瞞著した相手の憂國家が、山本大尉とわかつた今になつて見ると、默つてゐるのも可笑しいから、白状してしまふが、僕には、二十年以前の日本と今日の日本と、何がどうちがふんだか、實は少しも分らなかつた。
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2018/08/20(月) 01:29:00.40ID:K4r6F/a9
たはれ女のうつゝ無げにも青みたる眼か。
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2018/08/20(月) 01:29:03.69ID:8f8dtdLU
尤もこれは山本大尉自身も醉がさめた後になつて見ると、あんまりよくは分らなかつたかも知れない。
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2018/08/20(月) 01:29:16.13ID:K4r6F/a9
かはたれの空に生まるゝ二日の月か。
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2018/08/20(月) 01:29:19.44ID:8f8dtdLU
そこで好い加減に話を切りあげて、僕は外の連中と一しよに、士官室をひき上げた。
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2018/08/20(月) 01:29:31.86ID:K4r6F/a9
しのびかに黒髪の子の泣く音きこゆる。
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2018/08/20(月) 01:29:35.25ID:8f8dtdLU
さうしてMと二人で又上甲板へ出て見た。
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2018/08/20(月) 01:29:47.57ID:K4r6F/a9
初恋のありとも見えぬ薄ら明りに。
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2018/08/20(月) 01:29:51.01ID:8f8dtdLU
外では暗い空と海との間に榛名の探照燈が彗星のやうな光芒をうす白く流してゐる。
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2018/08/20(月) 01:30:03.29ID:K4r6F/a9
さばかりにおもはゆげにもいらへ給ひそ。
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2018/08/20(月) 01:30:06.75ID:8f8dtdLU
艦は多分相模灘を航行してゐるのであらう。
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2018/08/20(月) 01:30:19.00ID:K4r6F/a9
緋の房の長き団扇にかくれ給ひそ。
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2018/08/20(月) 01:30:22.51ID:8f8dtdLU
僕はハンドレエルにつかまつて、遙か下の海面を覗込んだ。
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2018/08/20(月) 01:30:34.72ID:K4r6F/a9
なつかしき人形町の二日月はも。
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2018/08/20(月) 01:30:38.24ID:8f8dtdLU
が、微かに青く浪が光る丈で、何も見えない。
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2018/08/20(月) 01:30:50.53ID:K4r6F/a9
若う人の涙を誘ふ二日月はも。
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2018/08/20(月) 01:30:54.01ID:8f8dtdLU
「かうやつて下を見てゐると、ちよいと飛込みたくなるぜ。」
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2018/08/20(月) 01:31:06.25ID:K4r6F/a9
いとせめて泣くべく人を恋ひもこそすれ。
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2018/08/20(月) 01:31:10.09ID:8f8dtdLU
するとMはそれに答へないで、近眼鏡をかけた顏を僕の側へ持つて來ながら、「おい、俳句が一つ出來た」
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2018/08/20(月) 01:31:21.98ID:K4r6F/a9
黄蝋の涙おとすと燃ゆる如くに。
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2018/08/20(月) 01:31:25.96ID:8f8dtdLU
「どんな句が出來た?」
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2018/08/20(月) 01:31:37.69ID:K4r6F/a9
湯沸器の湯気もほのかにもの思ふらし。
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2018/08/20(月) 01:31:41.79ID:8f8dtdLU
「遠流びと舟に泣く夜や子規。
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2018/08/20(月) 01:31:53.40ID:K4r6F/a9
我友の西鶴めきし恋語りより。
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2018/08/20(月) 01:31:57.58ID:8f8dtdLU
S君の事をよんだんだがね。」
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2018/08/20(月) 01:32:09.12ID:K4r6F/a9
ほゝけたる花ふり落す大川楊。
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2018/08/20(月) 01:32:13.34ID:8f8dtdLU
二人は低い聲で笑つた。
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2018/08/20(月) 01:32:24.96ID:K4r6F/a9
水にしも恋やするらむ大川楊。
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2018/08/20(月) 01:32:29.13ID:8f8dtdLU
さうしてもう一度海を見て空を見て、それから靜にケビンへ寢に下りて行つた。
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2018/08/20(月) 01:32:40.77ID:K4r6F/a9
香油よりつめたき雨にひたもぬれつゝ。
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2018/08/20(月) 01:32:45.01ID:8f8dtdLU
エレヴエタアが止つたと思ふと、先へ來てゐた八田機關長が外から戸を開けてくれた。
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2018/08/20(月) 01:32:56.46ID:K4r6F/a9
たそがれの銀座通をゆくは誰が子ぞ。
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2018/08/20(月) 01:33:00.74ID:8f8dtdLU
その開いた戸の間から汽罐室の中を見た時に、僕が先づ思ひ出したのは「パラダイス・ロスト」
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2018/08/20(月) 01:33:12.19ID:K4r6F/a9
恋すてふ戯れすなる若き道化は。
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2018/08/20(月) 01:33:16.52ID:8f8dtdLU
かう云ふと誇張の樣に聞えるかも知れないが、決してさうではない。
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2018/08/20(月) 01:33:27.97ID:K4r6F/a9
かりそめの涙おとすを常とするかも。
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2018/08/20(月) 01:33:32.30ID:8f8dtdLU
眼の前には恐しく大きな罐が幾つも、噴火山の樣な音を立てて並んでゐる。
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2018/08/20(月) 01:33:43.67ID:K4r6F/a9
何時となく恋もものうくなりにけらしな。
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2018/08/20(月) 01:33:48.05ID:8f8dtdLU
罐の前の通路は、甚だ狹い。
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2018/08/20(月) 01:33:59.37ID:K4r6F/a9
つめたくなりまさる如。
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2018/08/20(月) 01:34:03.90ID:8f8dtdLU
その狹い所に、煤煙でまつ黒になつた機關兵が色硝子をはめた眼鏡を頸へかけながら忙しさうに動いてゐる。
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2018/08/20(月) 01:34:15.07ID:K4r6F/a9
うつゝなきまひるのうみは砂のむた雲母のごとくまばゆくもあるか
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2018/08/20(月) 01:34:19.74ID:8f8dtdLU
或る者はシヨヴルで、罐の中へ石炭を抛りこむ。
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2018/08/20(月) 01:34:30.88ID:K4r6F/a9
八百日ゆく遠の渚は銀泥の水ぬるませて日にかゞやくも
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2018/08/20(月) 01:34:35.47ID:8f8dtdLU
或者は石炭桝へ石炭を積んで押して來る。
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2018/08/20(月) 01:34:46.69ID:K4r6F/a9
きらゝかにこゝだ身動ぐいさゝ波砂に消なむとするいさゝ波
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2018/08/20(月) 01:34:51.24ID:8f8dtdLU
それが皆罐の口からさす灼熱した光を浴びて、恐ろしいシルエツトを描いてゐる。
0826Socket774
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2018/08/20(月) 01:35:02.36ID:K4r6F/a9
いさゝ波生れも出でねと高天ゆ光はちゞにふれり光は
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2018/08/20(月) 01:35:06.99ID:8f8dtdLU
しかも、エレヴエタアを出た僕たちの顏には、絶えず石炭の粉がふりかかつた。
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2018/08/20(月) 01:35:18.17ID:K4r6F/a9
光輪は空にきはなしその空の下につどへる蜑少女はも
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2018/08/20(月) 01:35:22.79ID:8f8dtdLU
其上暑い事も亦一通りではない。
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2018/08/20(月) 01:35:33.85ID:K4r6F/a9
むらがれる海女らことごと恥なしと空はもだしてかゞやけるかも
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2018/08/20(月) 01:35:38.57ID:8f8dtdLU
僕は半ば呆氣にとられて、この人間とは思はれない、すさまじい勞働の光景を見渡した。
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2018/08/20(月) 01:35:49.65ID:K4r6F/a9
うつそみの女人眠るとまかゞよふ巨海は息をひそむらむかも
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2018/08/20(月) 01:35:54.35ID:8f8dtdLU
その中に機關兵の一人が、僕にその色硝子の眼鏡を借してくれた。
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2018/08/20(月) 01:36:05.38ID:K4r6F/a9
荘厳の光の下にまどろめる女人の乳こそくろみたりしか
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2018/08/20(月) 01:36:10.32ID:8f8dtdLU
それを眼にあてて、罐の口を覗いて見ると、硝子の緑色の向うには、太陽がとろけて落ちたやうな火の塊が、嵐のやうな勢で燃え立つてゐる。
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2018/08/20(月) 01:36:21.08ID:K4r6F/a9
いさゝ波かゞよふきはみはろばろと弘法麦の葉は照りゆらぎ
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2018/08/20(月) 01:36:26.04ID:8f8dtdLU
それでも重油の燃えるのと、石炭の燃えるのとが素人眼にも區別がついた。
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2018/08/20(月) 01:36:36.80ID:K4r6F/a9
きらゝ雲むかぶすきはみはろばろと弘法麦の葉は照りゆらぎ
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2018/08/20(月) 01:36:41.83ID:8f8dtdLU
唯、如何にもやり切れないのは、火氣である。
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2018/08/20(月) 01:36:52.50ID:K4r6F/a9
雲の影おつるすなはちふかぶかと弘法麦は青みふすかも
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2018/08/20(月) 01:36:57.70ID:8f8dtdLU
ここで働いてゐる機關兵が、三時間の交代時間中に、各々何升かの水を飮むと云ふのも更に無理はない。
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2018/08/20(月) 01:37:08.21ID:K4r6F/a9
雲の影さかるすなはちはろばろと弘法麦の葉は照りゆらぎ
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2018/08/20(月) 01:37:13.46ID:8f8dtdLU
すると、機關長が僕たちの側へ來て、「これが炭庫です」
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2018/08/20(月) 01:37:23.92ID:K4r6F/a9
支那の上海の或町です。
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2018/08/20(月) 01:37:29.24ID:8f8dtdLU
さうしてさう云ふかと思ふと、急にどこかへ見えなくなつてしまつた。
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2018/08/20(月) 01:37:39.62ID:K4r6F/a9
昼でも薄暗い或家の二階に、人相の悪い印度人の婆さんが一人、商人らしい一人の亜米利加人と何か頻に話し合っていました。
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2018/08/20(月) 01:37:45.04ID:8f8dtdLU
よく見ると、側面の鐵の板に、人一人がやつと這ひこめる位な穴が明いてゐる。
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2018/08/20(月) 01:37:55.32ID:K4r6F/a9
「実は今度もお婆さんに、占いを頼みに来たのだがね、――」
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2018/08/20(月) 01:38:00.88ID:8f8dtdLU
そこで僕たちは皆一人づつ、床を嘗めないばかりにして、その穴から中へもぐりこんだ。
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2018/08/20(月) 01:38:11.08ID:K4r6F/a9
亜米利加人はそう言いながら、新しい巻煙草へ火をつけました。
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