トヨタ自動車は2019年にも中国で電気自動車(EV)を量産する検討を始めた。中国政府はEVなどの走行時の環境負荷が低い車を「新エネルギー車」と定義し、18年以降に自動車メーカーに一定規模の生産を義務付ける方針を示している。基幹部品である電池の現地生産も検討し、世界最大市場のエコカー規制に対応する。

 トヨタは12年に米テスラのリチウムイオン2次電池を搭載した多目的スポーツ車(SUV)「RAV4 EV」を発売したが、販売は2500台にとどまり、生産を打ち切っている。EVの本格的な量産が明らかになったのは初めて。

 中国で量産する台数などは未定だが、中国市場で人気のSUVでのEV投入を検討している。小型車よりも電池やモーターなどを載せやすく、製品化が早いメリットもある。

 トヨタは長期的には燃料電池車(FCV)を環境車の主力と位置づけるが、水素の補給インフラの整備には時間がかかる。米国や中国などで厳しくなる環境規制に対応するため、20年までの投入をめざしてEVの開発を急いでいた。16年末にはデンソーや豊田自動織機、アイシン精機といったグループ企業が参画するEV開発の社内ベンチャーを立ち上げた。

 中国はこれまで補助金の支給によってエコカーの販売を促してきた。だが今後は自動車メーカーの総販売台数に応じて、一定のEVやFCV、プラグインハイブリッド車(PHV)の販売を義務付ける方針を出している。

 EVは中国市場全体の2%程度にとどまっているが、厳しい環境規制によって、自動車メーカー各社はEVやPHVなどの投入の対応を迫られている。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ22H2B_S7A720C1MM0000/