総務省は18日、25グラム以下の定形の郵便封書について料金の上限額を現在の84円から110円に26円引き上げる案を情報通信行政・郵政行政審議会に諮問した。実現すれば消費増税を除き1994年以来、30年ぶりの値上げになる。50グラム以下は現在の94円から16円増の110円にし料金を統一する見通しだ。

はがきも7年ぶりの値上げとなる見込みで、上限を63円から85円にする。定形外の郵便も3割ほど値上げする。レターパックや速達は、利用者の利便性を重視して値上げ幅を抑えるという。

来年秋以降の改定になる見込みだ。25グラム以下の定形の郵便封書は最も基礎的なものとして郵便法の関連省令で料金の上限額を定めている。今回の諮問を踏まえ、審議会は来春をめどに最終判断する。

総務省は早ければ2024年6月にも改正省令を施行する見通しだ。料金改定には日本郵便による総務省への届け出が必要となる。25グラム以下の定形郵便とあわせてはがきなどの値上げも検討している。

背景には郵便事業の厳しい状況がある。22年度の郵便事業の営業損益は211億円の赤字で、07年の郵政民営化後、初めて赤字になった。

郵便物数はピークの01年度の262億通から、22年度に45%減の144億通まで減った。総務省は28年度にはさらに20%減り115億通になると見込む。

物価高などを受け、基本給を底上げするベースアップを実施し人件費も増えている。郵便事業の営業費用のうち4分の3ほどを人件費が占める。

総務省は今回の25グラム以下の封書の価格見直しについて「25年度の黒字を達成できる最小限の上げ幅にした」と説明している。
2023年12月18日 11:16
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA180FG0Y3A211C2000000/