>>1 から続く

 ――就任から約4か月。手応えは。

 「1月26日に社長交代の発表があり、翌日から実質的に社長の仕事をしている。半年間、本来のトヨタらしさを取り戻した(前社長の)豊田章男会長の経営を継承する、トヨタの軸を守っていくと伝え、一定の理解を得られるようになった。

 トヨタは公共性が高く、社会的に果たすべき役割がある企業で、トップが変わることで方針がころころ変わることはあってはならない。

 今のトヨタは、『チーム経営』だ。執行役員、本部長を含めた10人の経営陣が並行してそれぞれ動いている。実行しながら情報の共有をしており、経営のスピード感が早い」

 ――エンジニア出身として思うことは。

 「100の失敗の先に一つの成功があるということ。新しい何かを生み出そうとする時のエネルギーは失敗。今は行動が大事だ。今は行動力のある人間が経営の中核にいる」

 ――休日のリフレッシュ方法は。

 「社長就任後は(多忙で)趣味のクルマいじりをする時間はあまりなくなったが、ショップと連絡はとっている。どんな形であれ、車との接点は大事にしている。好きでこの仕事をやっている。

 週末にレースやラリーがある時は、現場に来るようにしている。色々な業界の方と会えて、フランクに話すことができる」

(聞き手 中部支社 山内竜介)

  ◆佐藤恒治氏(さとう・こうじ)  1969年生まれ。92年早大理工卒、トヨタ自動車入社。執行役員を経て4月1日から社長。

 大学ではディーゼルエンジンを研究。入社後はHV「プリウス」の部品開発などに携わった。80年代に人気を集めたスポーツカー「AE86型」を自ら購入し、分解するほどのクルマ好き。社長就任後は多忙でクルマいじりをする時間はほとんどなくなったが、好物の豆大福を食べて疲れを癒やしている。