ニデックの永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は20日、企業の合併・買収(М&A)について、今後は規模の大きいものも検討し、「場合によっては1兆円規模くらいの会社を買収する」と述べた。

  永守氏は同日開かれた定時株主総会後の会見で、経営目標としている2031年3月期に売上高10兆円のうち、半分の5兆円はМ&Aによるものになると指摘。これまでは既存事業をサポートするような会社を中心に買収してきたが、これからは「ちょっとええっと思う」ような事業を買っていく可能性が高い、とも述べた。

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ニデック永守会長(左)と小部社長(20日・京都市)Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg

  今年創業50周年を迎えるニデックは、これまでM&Aを活用して会社を成長させてきた。今期(24年3月期)の営業利益予想は前期比2.2倍の2200億円。前期は電気自動車(EV)用駆動モーターシステム「E-Axle(イーアクスル)」を含む車載事業の赤字や構造改革費用の計上が収益を圧迫したが、今期はV字回復を目指す。

  永守氏はこの日の総会で、会長を退任した後も取締役には留まり、後進の育成に注力する考えを示した。これから3代先の社長までは「自分が関与してみていく必要がある」とした。

  ニデックでは今年4月1日付で小関敏彦氏や岸田光哉氏ら5人の副社長が就任。この中の1人を24年4月に社長に昇格させる方針を示していた。永守氏は今期の実績を重視するほか、「株価を上げてくれる人」が次期社長になるとの考えを強調。近い将来には外国人が社長に就任する可能性も出てきたと述べた。

  創業者で今年8月に79歳となる永守氏はこれまで、複数の後継者候補を外部から採用してきたが、いずれも失敗。後継者選びが経営課題となっている。昨年4月にはCEOに復帰し、再び経営の陣頭指揮を執ってきたが、株価はそれ以来、20%近く下落しており21年2月に記録した上場来高値である1万5000円超からほど遠い水準となっている。

ニデックの株価推移 Source:Bloomberg
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  株主総会で諮られた取締役選任案は賛成多数で可決された。米国最大の公的年金基金であるカリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)は、永守氏と創業時からの部下である小部博志社長兼最高執行責任者の取締役選任に反対を表明していた。
□株主総会 | ニデック株式会社
https://www.nidec.com/jp/ir/event/meeting/
https://www.nidec.com/-/media/www-nidec-com/ir/event/meeting/img/50_all_jp.pdf

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□6594:Tokyo 株価 - ニデック - Bloomberg Markets
https://www.bloomberg.co.jp/quote/6594:JP

2023年6月20日 14:11 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-20/RWA7L8T1UM0W01