住宅購入の相談をうけたまわるのも、私の仕事の1つである。私がいい年のせいか、相談者もそれなりの方が多い。

前から申し上げていることだが、30代も半ばを過ぎたような方が35年返済の住宅ローンを組むのはリスクが高すぎる。

多くの人は「返せなくなれば売ればいい」と考えている。それは、売却額がローンの返済を上回っている場合には有効な解決法だが、下回ることだってあり得る。

この10年、東京をはじめ主要都市のマンション価格は上昇を続けた。だから売却してもローン残債を下回るようなケースはほぼなかった。しかし、この先は分からない。

東京の山手線内のような超都心は別にして、人々が「住むため」にマンションを買う実需エリアの価格水準は、すでに需給関係の限界を超えるところまで上昇してしまった。それが証拠に、郊外での新築マンションの販売は極めて低調。建物が完成した物件では、軒並み値引き販売が行われている。また、中古物件の動きも極めて緩慢。

つまり、実需型の物件の価格は「上がるところまで上がりきった」状態なのだ。今後は、何かのタイミングをターニングポイントとして下がる可能性が大きいと思われる。そのタイミングは、金利上昇かもしれないし、世界的な金融不安、あるいは株価下落なども考えられる。
https://www.zakzak.co.jp/article/20230529-UGZQRYBSHJOFLBIVRQW5K72FP4/