【ニューヨーク=白岩ひおな】米国の個人消費の動向を占う26日の一斉セール「ブラックフライデー」の集計結果が相次いでまとまった。米アドビによると、インターネット通販の個人消費額は89億ドル(約1兆100億円)と、20年の90億ドルから1%減った。前年の22%増から減少に転じた。一方、センサーマティック・ソリューションズによると、実店舗の客足は20年の1.5倍と大幅に増えた。

米アドビによると、感謝祭翌日のブラックフライデーだけでなく、感謝祭の祝日の消費額も1年前から横ばいの51億ドルだった。同社は「小売企業がセールを前倒しし、消費者も早い時期からホリデーシーズンの買い物を始めた」と分析。セール期間が長くなった分、ブラックフライデー当日の支出が例年より伸びなかったもようだ。

ブラックフライデーではオンライン販売の44%がスマートフォンからの購入が占めており、前年から11%増えた。分野別ではゲームや家電、衣料品などが人気だった。

アドビの集計は、米オンライン販売の上位100位の小売企業のうち、80社のウェブサイトを対象としている。大手ほど中小より売り上げを伸ばす傾向があり、西海岸のコンテナ船滞留で品不足の懸念が高まるなか、大手が在庫確保で先行したことも背景にありそうだ。ホリデーシーズンに消費者に表示される在庫切れのメッセージは26日時点で新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の2.2倍に増えている。

一方、センサーマティック・ソリューションズによると、ブラックフライデー当日の実店舗の客足は前年から48%増えた。感染対策の入店規制などもあった前年に対し、新型コロナのワクチン普及で実店舗がにぎわいを取り戻した。

物流の混乱が続くなか、ネット通販での品切れや配送の遅延なども考慮し、店頭での買い物を選ぶ消費者が増えたとみられる。同社のシニア・ディレクター、ブライアン・フィールド氏は客足の増加が「継続的なサプライチェーンの課題と出荷の遅れである可能性がある」と指摘する。
以下ソース
2021年11月29日 8:07
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2904P0Z21C21A1000000/