米動画配信大手のネットフリックスは18日、東宝系の撮影スタジオ「東宝スタジオ」(東京・世田谷)の施設を4月から複数年借りると発表した。日本に制作拠点を置くのは初めてになる。アニメづくりでは制作会社との包括業務提携などに取り組んできており、実写でも独自作品の拡充に向けた環境を整える。

国内最大規模の撮影スタジオ、東宝スタジオ内の「No.7ステージ」(957平方メートル)と「No.10ステージ」(658平方メートル)を賃借する。広さは2棟合わせて約1600平方メートルとなる。具体的な賃借期間は非公表。スタジオ施設を借りて長期的な制作拠点にするのはスペイン、米国、韓国などで例があるが、日本では初めて。

実写ドラマの制作を発表している「幽☆遊☆白書」や「サンクチュアリ-聖域-」といった作品の撮影で活用する予定だ。コンテンツ・アクイジション部門の坂本和隆ディレクターは「作品の質を担保するうえで重要で、ずっと稼働させる」と話す。

ネットフリックスは2015年に日本でのサービスを始め、約50本の日本発の独自作品を配信してきた。20年9月には22年末までに日本発の実写オリジナル作品を15作品配信する予定を公表している。実写では主力のドラマのほか、長編映画やバラエティー番組も増やし作品の幅を広げていく考えだ。

実写作品の強化に向けては、このほど映像制作のデジタル・フロンティア(東京・渋谷、DF)と業務委託契約も結んだ。VFX(視覚効果)などの技術をもつDFが複数年にわたり作品づくりに協力する。

アニメ制作では制作会社やクリエーターとの提携を結んできており、4月にはアニメーターの育成支援を始める。実写でも制作体制を充実させていく考えだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ156260V10C21A3000000/