ゴージャスな共用部分がウリのタワマンだが……

 ――学生時代の先輩が湾岸のタワマンに住んでるんですけど、バーベキューができるルーフガーデンや、ホテルみたいなバーラウンジがついてて、すごいゴージャスなんです。

 ああ、共用部分の豪華さをウリにしている物件も多いですね。たしかに楽しそうではあるんですが、実は私はあまりおすすめできないんですよ。タワーマンションについては本当に賛否両論ありますから、あくまで私の見立てとして聞いてくださいね。

 一つには耐久性に懸念があるためです。多くのタワマンは従来型の鉄筋コンクリートとは異なる工法で造られており、十分な経年変化の実績がありません。デベロッパー側も対策はしていると思いますが、建物は実際に時間が経過しないとわからないことが多いのも事実です。十分な実績のある従来型のマンションと比較して、同程度の耐久性があるかどうかは現時点では不明です。

 そのため、購入時に提示される修繕・維持費のままで、50年後も住環境のクオリティが維持できるかというと、かなり怪しい気がしてなりません。

 もう一つの心配は、やはり災害時の問題です。せっかく大枚をはたいて高層階の住まいを手に入れたとしても、エレベーターが止まってしまったらなすすべがありませんよね。いくら住宅は資産価値を考えて選ぶべき、とはいえ、命より大切なものはありませんから、あまり高層ではなく10階程度の物件にとどめておいたほうがいいかなというのが個人的な意見です。

■修繕積立金と管理組合について知っておくべきこと

 ――なるほど、購入価格だけじゃなくて、維持費のことも考えないといけないんですね。でも、維持費って、買ったときからそんなに変わってしまうこともあるんですか?  聞けば聞くほど気にすべきことが増えていきます。

 それはそうですよ。住まいは「買って終わり」ではありません。快適に、かつ安全に暮らしていくには適切な管理が欠かせません。そのため、住宅ローンのほか、月々の管理費や修繕積立金が必要です。

 しかもこの2つのコストは定額で据え置かれるわけではありません。デベロッパーとしては、早く空室を埋めたいわけですし、まして新築や築浅物件であれば、大掛かりな修繕費がかかるのはだいぶ先ですから、購入時は修繕積立金が低めに抑えられていることが多い。でも、10年、15年と住み続けているうちに、値上がりしていくことも特に珍しくありません。当初は合計1万5000円程度だった管理費と修繕積立金が、20〜30年後には合計4万〜5万円ぐらいまで値上がりする可能性だってあります。

 ――ローン返済がギリギリの計画だと危ないんですね。ところで、管理費と修繕積立金ってどう違うんですか? 

 ひと口に「管理」といっても、日常的な管理と中・長期的な管理の2つがあるんです。一つは共用廊下やゴミ置き場の清掃といった、「生活を快適に保つ」ための管理。これにあてられるのが通常「管理費」と呼ばれるものです。

 もう一つは、数年ごとに外壁を塗り替えたり、防水処理をしたりといった、「建物を維持する」ための管理です。入居するときに「長期修繕計画書」といった書類をもらうはずですが、そこに記されている修繕工事や建築診断に使われるのが「修繕積立金」です。

 分譲マンションを購入すると、自動的に管理組合の構成員になり、実際の管理業務は組合が管理会社に委託するのが一般的です。

■分譲マンションは戸数が多いほうがいい理由

 ――管理組合なんてあるんですね。となると、賃貸より分譲のほうが、「ご近所づきあい」が多くなるんでしょうか? 

 ある意味、そうなりますね。分譲マンションは「持ち家」といっても集合住宅ですから、組合員同士、利害を共有しているわけです。建物全体が快適に保たれていないのに、自分の住まいだけが快適ということはありえませんから。

 ここで気づいてほしいのは、管理組合の規模がある程度大きいほうが建物の維持管理には有利だということです。つまり、分譲マンションは戸数が多いほうがいいんです。これはほぼ100パーセント断言できます。
以下ソース
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d890e87b31903be28bc74f3b8e3b25a051eb42b