日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏にモダンPCについて尋ねると、2018年当時を振り返ることから取材はスタートした。

中略
このPC買い換えが長引いていることとともに問題となったのが、日本の多くのPCユーザーが選ぶ製品が、ほかの国に比べて特殊なのだという。

「日本では15型のディスプレイ、DVDドライブ搭載のノートPCが売れ筋となっていました。日本のユーザー向けにメーカー各社が薄い、軽い、タッチ機能を搭載した最新機能のPCを投入しているにもかかわらず、コンシューマ市場では大きな機能変化がないPCの方が売れている。なぜなんだ? と要因を掘り下げてみることになったのです」。

原因を掘り下げて探っていくと、「日本ならではの特殊な要因」が複数あることが明らかになった。

 要因の1つは日本のコンシューマユーザーのPC利用シナリオだという。

 「PCを利用するさいのユーザーシナリオが、日本のユーザーは5年前からほとんど変わっていない。限定的な使い方にとどまっていることがわかりました。メール、ブラウジング、写真の保存と2000年頃から変化がないんです。

 海外ではExcelの利用をはじめ、仕事探し、ゲーミング、さらに子供達が学校の宿題をPCで行なうといった使い方をするようになっています。そういった新しい使い方をしていないのが、多くの日本のコンシューマユーザーだったのです」

 日本ならではの特殊な要因のもう1つが、日本の量販店の多さにあるという。

 「日本以外の国では、量販店といえばここ! という1社体制になっています。それに比べると日本は、量販店の数は多い、PCメーカーの数も多い。大手量販店では約250モデルのPCが店頭に並びます。こうなるとメーカーは量販店の棚の取り合いになります。量販店を訪れたお客さまもどの製品を選べばいいのかわからない状況になってしまっています」。

 このPCのモデル数の多さとは、Mac売り場と比較すると象徴的だという。Macの売り場は展示されているモデル数が絞り込まれているので、自分が購入するモデル選びはWindows PCほど難しくない。250モデル以上が店頭に並ぶWindows PCは、下調べをして店頭に出向いても戸惑ってしまう人が多いようだ。

 「店頭で商品を見比べても、どれを選べばいいのかわからない。商品の説明を聞いてもわけがわからない。そういう場合、選択に利用するのが店頭に表示された機能の有無をまとめた○/×表です。その比較表を見ると、機能が少ないよりも多い製品を選ぶ方が得策と思えてくるのです」。

 そういった「機能が多い方が良い」ということで選ばれるものの代表が、「DVDドライブ」だそうだ。

 マイクロソフトの調査では、PCを購入して7年間、1度もドライブを利用しなかったという人が圧倒的に多いそうだが、それでも「搭載しているモデルを買いますか? 搭載していないモデルを買いますか?」の2択になってしまうと、「搭載しているモデル」を選択する人が多い。

 「その結果、DVDドライブ搭載、HDD搭載モデルが選ばれるというサイクルができあがります。DVDドライブ、HDDを搭載せず、SSD搭載の薄くて軽い最新PCは選択外になってしまうのです。

 その結果、前に購入したものと大差がないPCを選択し、買い換えても大きな驚きはない、よくないサイクルができあがっていました。
以下ソース
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/miura/1231638.html