全日本空輸(ANA)とソフトバンク子会社のSBドライブ(東京・港)、中国の自動車大手、比亜迪(BYD)の日本法人など4社は22日、羽田空港で自動運転バスの導入に向け実証実験を実施した。BYDの電気自動車(EV)バスが日本の自動運転の実証実験で使われるのは初めて。東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年内の試験運行を目指す。

BYDの大型EVバス車両を使用し羽田空港のターミナル地域内での自動走行に成功した。車両の制御技術は先進モビリティ(東京・目黒)が開発した。自動運転には全地球測位システム(GPS)データを元にした制御が使われるが、空港は搭乗ブリッジなど遮蔽物が多く走行の妨げとなることもあるという。

実験ではGPSに加え、「SLAM」と呼ばれる技術を活用。周囲のデータから自分が今どの場所にいるかを推定するのと同時に、3D地図の生成を行い自動走行を可能にする。

実験ルートは、乗客が航空機に搭乗する際のバス移動を想定。22日の試乗会では実際に記者らを乗せて羽田空港第2ターミナルの建屋沿いを時速20キロメートル程度で北から南に約1.9キロメートルを走った。途中には遮蔽物が存在し右左折もあったが、安定した走行ぶりで快適な乗り心地だった。

羽田空港で開かれた式典であいさつしたANAの清水信三専務は「東京五輪・パラリンピックまで200日を切った。実験を通じ課題を一つ一つ克服し2020年内に試験運用したい」と述べた。

BYDのEVバスは世界で5万台が導入され市場をリードする存在だ。式典にはBYDの日本法人、ビーワイディージャパンの劉学亮社長のほか駐日中国大使館の郭燕公使も参加した。郭公使は「実験をうれしく思う。中日関係は改善発展を保っており相互補完の優位性を発揮できる」とあいさつした。

劉社長も「羽田のみならず、すべての空港や地域における安全で安心、スマートな社会作りに大いに協力できる」と実験を足がかりにした日本への普及に期待を示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54718930S0A120C2XQH000/