深刻化する人手不足は、解消する気配がない。厚生労働省が発表した2018年8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍。このところ、1973年以来の高水準が続いている。

 IT人材の不足感はさらに高い。同月の情報処理・通信技術者の有効求人倍率は、2.48倍。売り手市場を背景に、以前よりも好待遇で転職するIT技術者も増えているという。

 そんな中、ITエンジニアは転職意向をどの程度持っているのか。日経 xTECHが実施したアンケート調査では、「できるだけ早く転職したい」と回答した人が31.2%に上った。回答者の3人に1人ほどが、強い転職意向を持っていた。
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これに「数年以内に転職したい」「時期は未定だが、いずれは転職したい」を合わせると、69%。約7割もの人が、程度の差はあれ転職したいとの気持ちを抱えながら仕事をしていることが分かる。「転職したいとは考えていない」「分からない」は3割と、少数派だった。

 この回答を年齢別に集計すると、興味深い傾向が浮かび上がった。転職意向は、年齢が上がるほど低下している。

 転職に対して最も積極的なのは20代以下。半数以上が、「できるだけ早く転職したい」と答えている。「数年以内に転職したい」「時期は未定だが、いずれは転職したい」を合わせると95%と、ほぼ全員が転職希望者だった。

20代はもともと転職市場で最も人気の世代とされる上に、IT人材となればさらに引く手あまた。こうした転職のしやすさに加え、年代的に転職に対する抵抗感が少ない、勤務年数が少なく職場を離れやすい、といった要因があると推測できる。

 時期を問わず「転職したい」と答えた人の合計は、30代で70.7%と20代よりも20ポイント以上下がる。40代は69.9%、50代は64.3%、60代は56.5%と年代が上がるごとにさらに減少した。年齢を重ねるほど転職への不安が増す、家族の存在などしがらみが増える、経験を積んだが故に今の仕事や職場に愛着を感じている、などの理由が考えられる。
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