三菱航空機(愛知県豊山町)が手掛ける国産旅客機「MRJ」の開発遅れが親会社、三菱重工業の業績に打撃を与えている。三菱重は3日、東京都内で開いた決算会見で、開発遅れが2019年3月期で本業のもうけを示す事業利益を900億円押し下げると明らかにした。20年半ばを目標とする初号機納入に向け、巻き返しを急ぐ。

 同日の決算会見でMRJについて、小口正範・最高財務責任者(CFO)は「昨年と今年が投資のピーク」と述べ、20年3月期から投資負担が軽くなるとの見通しを示した。

 MRJはこれまで5度の納入延期で、初号機の納入目標が当初計画より7年遅れた。電気配線など設計の見直しに伴う費用などが膨らみ、三菱航空機の債務超過額は今年3月末時点で1100億円まで膨らんだ。

 三菱重は三菱航空機について19年3月期中の債務超過解消を目指している。「既存株主と相談しており、年度内に実現する」(小口CFO)との見方を示した。

 三菱航空機はMRJの商用運航に必要な型式証明の取得を急いでいるが、製造などを担う中部の関連各社の間では先行きへの懸念もある。愛知県内の胴体組み立て会社は「これまでの延期で人員の再配置に苦労した。採用も厳しく、MRJに注力できる状況ではない」と漏らす。ある部品加工会社も「協力はしたいが、航空以外の事業が忙しく、人員は割きにくい」との状況だ。
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