いつでもどこでも安く供給――。こんな日本の水道事業が岐路に立っている。民間機関の予測では将来的に値上げが必要な事業者は9割に上る。国は法改正を目指し、事業の改善を促す。

 静岡県三島市は昨年10月、家庭用を含めて水道料金を一律34%引き上げた。82年以来の35年ぶりとなる値上げに、家族5人暮らしの女性(35)は「我が家にとっては大きな負担」と話す。値上げ後の料金は月7千〜9千円。以前より月約2千円、年間2万4千円出費が増える計算だ。

 三島市の水道事業は2014、15年度と連続で赤字。以前から収入減が続き、「職員の人件費などの削減で対応してきたが限界がきていた」と担当者は話す。専門家らでつくる審議会は16年12月、水の需要減少と老朽化した施設の更新の必要性を踏まえ、「料金の改定は不可避」と値上げを答申。市議会で改正案が可決された。

 茨城県つくば市も今年4月、標準的な家庭で16%上がる35年ぶりの改定に踏み切った。92年度から水を供給する費用を収益が下回る「原価割れ」が続き、埋め合わせに使ってきた内部留保資金が底をつきかけていたという。市内の男性(61)は「なぜ今値上げが必要なのか、市民にきちんと知らせて欲しい」と話す。

 横浜市は来年をピークに減少に…
2018年7月12日04時59分
https://www.asahi.com/articles/ASL736G6TL73ULBJ012.html