3社に1社が今年の新卒採用で予定数を確保するのが難しい――。就職情報大手のマイナビ(東京・千代田)が11日発表した採用活動調査でこんな現状が明らかになった。これまでの同社の調査でも2019年春卒業予定の学生の内定率は8割近くに達している。売り手市場が一段と鮮明になった今年の採用活動では、厳しい状況に置かれている企業が多いことがわかる。

 調査は新卒採用実績がある企業の採用担当者らを対象に6月5日から19日にネットで実施。上場239社を含む3008社から回答を得た。

 採用予定数の確保が「難しい」と回答したのは33.8%で前年調査より3.1ポイント増加した。マイナビ・HRリサーチ部の小林裕貴氏は「これまでの調査でも企業の19年卒の採用予定数は18年卒を上回っていたが、学生の数は大きく変わらないだけに充足できない企業が多くなっている」と説明する。

 「予定数の確保が難しい」と回答した企業を業種別にみると、建設が41.8%、小売りは41.0%と特に高かった。いずれも慢性的に人手不足感が強い業種だ。厳しい採用環境を受けて、夏以降に追加の選考機会を「設ける」という回答も全体の65.0%に達した。業種別では小売りが77.8%と最も多かった。

 一方、新卒採用における学生の「優秀さ」の要素について複数回答で聞いたところ、「協調性・チームで働く力」が62.6%でトップ。「仕事への情熱・やる気」が58.2%、「言葉で伝える力」が43.2%で続いた。

 これに対して、「多言語能力」(4.9%)という回答が最も少なく、「学歴」(5.2%)、「資格」(6.1%)も少数だった。企業は属性や資格より、現場やチームで働く際の意欲や特性などを評価しているとみられる。

2018/7/11 13:59
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32860580R10C18A7XXA000/