NTTの澤田純社長は26日、都内で就任記者会見を開いた。成長の軸となる海外事業の拡大に向けて「自らのデジタル化を強化しないといけない」と語り、競争力強化に向けて内部変革を進めていく考えを示した。

「海外事業の競争相手は米デロイトや米アクセンチュア、米IBMになる」。澤田社長は、こう抱負を語った。国内の通信事業は飽和状態で、NTTグループは新たな成長戦略として海外事業を強化している。2010年に南アフリカの情報システム会社、ディメンション・データを買収したのを手始めに、海外のIT関連企業を続々と傘下に収めている。

 「我々は通信からシステム構築、ITインフラまで包括的に企業に提供できる能力がある。その点では競争相手はいない」と澤田社長は強調した。しかしITインフラの分野では米アマゾンや米マイクロソフトが大きな市場を握るなど、それぞれの分野には強豪がひしめいている。

 澤田社長は「海外事業の競争力をもっと高めないといけない。自らの付加価値を明確にするためにも、内部のプロセス改革が重要になる」と指摘し、海外事業の強化に向けた検討組織を立ち上げたことを明らかにした。

 澤田社長は今後のNTTグループの方向性について、「Your Value Partner、顧客や株主、地域にとって価値のある存在になりたい」と説明。鵜浦前社長が敷いたパートナー戦略を引き継ぎ、発展させる考えを示した。

 今秋には澤田新体制の下で、新たな中期経営戦略を発表する計画だ。「骨子となるのは顧客のデジタル化の支援、自らのデジタル化の強化、人・技術・資産の活用、ESG(環境、社会、企業統治)経営の推進の4つだ」と述べた。さらに「3年、5年、7年のタイムスパンで、数値目標も出していきたい」とも説明した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32259040W8A620C1X12000/