【ニューヨーク=平野麻理子】米最高裁は21日、州政府がネット通販業者から日本の消費税にあたる売上税を徴収することを認める判決を出した。これまでは州内に店舗や物流施設など物理的な拠点を持たない業者に対して、州は売上税の納付を義務づけることができなかった。今回の判決で、ネット通販は実店舗に対し税金面での優位性を失うことになる。

 アンソニー・ケネディ判事は判決文で「物理的な拠点を求めるルールは、州の長期的な繁栄を制限し、小売業者の公平な競争を阻んできた」と指摘。ネット通販が広く普及した時代に即した制度への見直しを求めた。

 州内に物理的な拠点を求める以前の判決は、カタログ通販全盛期の1992年に出された。今回の裁判は92年の判決を覆すため、サウスダコタ州が提起していた。複数の州が、ネット通販の売上税の免除により何十億ドルの税収が失われていると主張してきた。

 今回の判決は、ネット通販と厳しい競争を強いられてきた実店舗の小売業者にとっても、大きな勝利となる。

 売上税の実質的な徴収免除は、アマゾン・ドット・コムをはじめとするネット通販企業の急拡大につながった要因のひとつ。アマゾンは全米各地に自前の物流網を広げて税を回避しにくくなったため、2017年から原則全ての州でアマゾンが直接販売した商品に対して売上税を徴収している。
2018/6/22 5:52
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32095660S8A620C1000000/