【シリコンバレー=佐藤浩実】スマートフォン市場の飽和が鮮明になってきた。米調査会社のIDCが30日にまとめた2018年の出荷台数の見通しは前年比0.2%減の14億6200万台。初めて減少に転じた17年に続き、2年連続で前年を割り込む。米アップルなどは販売単価の引き上げを進めているものの、台数ベースでシェアを高めているのは中国勢の低価格機だ。部品メーカーはスマホに頼れなくなってきている。

IDCによれば、17年のスマホ出荷台数(確報値)は0.3%減の14億6500万台だった。わずかな比率ではあるものの、IDCがスマホの統計を取り始めてから初のマイナス成長となった。端末メーカーの集約が進む中国で、出荷台数が4.9%減った影響が大きい。中国はスマホ出荷の約3割を占めており、18年も同国の停滞が全体を押し下げる見込みだ。

一方、アップルや韓国のサムスン電子が有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)や人工知能(AI)を搭載した高額機に力を入れているため、IDCの予想では18年の平均販売単価は345ドル(約3万7千円)と17年比で10%上がる見込みだ。IDCのアナリストは「19年後半に出てくる『5G』対応のスマホも市場を再び押し上げる」と見ており、22年には平均単価が362ドルに達するという。

とはいえ、今後も台数ベースで2桁成長が続く東南アジアやインドでの売れ筋は華為技術(ファーウェイ)や小米などの中国勢が手掛ける低価格スマホだ。30日にネット分野の著名アナリストであるメアリー・ミーカー氏が出したリポートによれば、スマホの単価は直近で上昇しているものの、400ドルを超えていた10年前と比較すると低水準にある。

スマホ市場の成熟は数年前から指摘されてきた。依然として年15億台近くを出荷する巨大な市場ではあるものの、スマホ依存を脱しきれていない部品企業などは今後、難しい局面を迎えそうだ。
2018/5/31 6:54
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31183170R30C18A5000000/