日本経済新聞 2018/5/3 6:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30095740S8A500C1XA0000/

北京国際自動車ショーでは比亜迪(BYD)など現地勢も電気自動車をアピールした。
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天津力神電池は車載やスマホ向けなどさまざまな用途の電池で多くの実績を持つ(天津市)
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EV電池は中国勢の躍進が目立つ
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中国市場の伸びもあり、EVの市場規模は右肩上がり
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中国で数年内に始まると確実視されるのが、電気自動車(EV)電池市場の争奪戦だ。中国政府の政策変更で
日本勢が苦しんできた中国勢優位のハンディは解消に向かう。野心的な中国メーカーの追い上げを許すまいと、
世界首位のパナソニックも将来の市場拡大に備える。日中企業同士のつばぜり合いがにわかに激しさを増してきた。

 北京市内から南東方面に2時間ほど車を走らせると、中国電池大手、天津力神電池の本社が見えてくる。
力神は中国国有企業の傘下で、1997年に創業。米アップル、米デル、韓国サムスン電子グループ、
華為技術(ファーウェイ)など向けにパソコンやスマホの電池を供給してきた。

2019年に始まる新エネルギー車(NEV)規制では自動車メーカーが一定比率のEVやPHVなどNEVの
製造・販売を義務付けられる。大量の電池を確保できるかは死活問題。力神のある社員は「日本車向けに
まだ実績はないが、検討中の話はある」と明かす。


■驚異的な成長曲線、中国勢が大増産

 力神は車載電池では12年に電動バス向けの供給を始めたにすぎない新興メーカーだが、驚異的な成長曲線を描く。
17年には車載用と民生用を合わせた電池の生産能力で10ギガワット時に到達した。

 すべてが車載向けではないが「電気自動車(EV)需要の高まりに対応するため、20年には30ギガワット時、
25年には60ギガワット時まで伸ばしていく」(同社)と威勢が良い。世界首位のパナソニックが米テスラと
ネバダ州に建設した巨大電池工場「ギガファクトリー」の能力が35ギガワット時。中国新興メーカーの工場の
スケールの大きさがわかる。

 「将来EVブームに本当に火がつけば、大きな電池のキャパが必要になる。例えば(2000億円前後を投資した)
ギガファクトリーが10個分くらい。そのときが本当の勝負。そのときに勝てるよう準備を進めていきたい」。
パナソニックの津賀一宏社長は電池事業の将来像をこう語る。


■政策変更で日本勢にも勝機

 ただ近年、日系電池メーカーは何度も戦略転換を強いられてきた。日産自動車はNECと共同出資した
車載電池子会社を中国の投資ファンドに売却。GSユアサは独ボッシュなどとの車載電池セル開発の合弁会社を解消した。
パナソニックはトヨタと協業検討する形で、テスラ傾倒のリスクを分散する方針に転じた。

 防戦一方の展開を強いられる要因だったのが、中国の自国優位の政策だった。ただ政府が補助金を与える
電池メーカーを選ぶ「ホワイトリスト」制度が事実上形骸化した。ホワイトリストに代わって16年ごろから
始まった現在の電動車向け補助金制度は、日系電池メーカーの電池を搭載した車も対象になりそうだ。


(続きは記事元参照。全2ページ)