東洋経済 ONLINE 2018年04月30日
https://toyokeizai.net/articles/-/218648

 米(コメ)の値上がりが止まらない。消費者物価上昇率は日本銀行が目標に掲げる2%に満たず、
「インフレ目標」が達成できてないのに、コメ(主食用)の価格は最近3年で3割も上昇した。
その影響は家庭で食べるご飯だけでなく、牛丼の値上げや、値段を据え置くおにぎりや米菓で
コメの分量を減らすなどの形で及んでいる。なぜコメは値上がりしているのか。

 天候不良や生産地での自然災害ばかりが原因ではない。コメの作況指数は、2015年産米が100で平年並み、
2016年産米が103でやや良、2017年産米が100で平年並みだったから、不作が原因ではない。
実はそこには財政がかかわっている。

 コメが値上がりしている根本原因は、稲作農家が、「主食用米」(家庭用や業務用)ではなく、
「飼料用米」(多収性専用品種)に作付を振り替えてしまったからだ。簡単に言えば、人が食べるコメを
作るのをやめて、家畜の餌にするコメを作ることにした農家が増えたからである。


農家が飼料用米を作りたがる理由

 農家が、人が食べるためのコメを作りたがらないから、値段が上がり、それが追い打ちをかけ、
日本におけるコメの需要をますます減らしている。コメにこだわりのない人は、値段が高ければ、
パンやパスタなどに替えてもいいと思うだろう。このところ、日本での主食用のコメの需要は、
年平均で8万トンずつコンスタントに減っていて、今や754万トンとなっており、
今後さらに減るという予想もある。

 では、どうして主食用米でなく、飼料用米に振り替わっているのか。それは、飼料用米への
補助金が手厚いからだ。これまでの半世紀にわたる経緯を順を追って説明しよう。

 そもそも、コメの供給過剰が恒常化したことから、1971年に減反が本格的に始まった。減反とは
生産調整のことである。


(続きは記事元参照。全4ページ)