1杯7500円のコーヒーがある。茨城県のサザコーヒーは、世界最高級のコーヒー豆「パナマ・ゲイシャ」の「No227」という豆を使ったコーヒーを、1杯7500円で販売している。一体どんな味がするのか。2月に行われた試飲会の様子を紹介しよう――。

独自に淹れた最高品種を味わう
2月21日、東京・赤坂にある「コーネルコーヒー」で次のイベントが行われた。

パナマ・ゲイシャフェア【世界一の珈琲 特集】「90+」編

一見、大げさなイベント名だが、主催者のサザコーヒー(本店:茨城県ひたちなか市)には自信があった。世界最高級のコーヒー豆である「パナマ・ゲイシャ」(パナマ産のゲイシャ品種)を用いた、「淹れる人」「抽出方法」に徹底してこだわった内容だからだ。

昨年12月末、筆者はプレジデントオンラインへの寄稿「2018年に来る『コーヒー第4の波』の正体」で、「価格の広がり方もワインに似てきた」と書いた。「ゲイシャ」はその象徴ともいうべき豆である。世界有数の農園が栽培した希少価値のコーヒー豆を飲む――という最前線の楽しみ方を紹介したい。

コーヒーの輸入量は1980年の2倍
近年、日本のコーヒー輸入量は伸びている。直近の2016年は48万1764トンだった。2000年に40万トンの大台に乗ってからは、17年連続で40万トン超となっている。この数字は1980年(19万4294トン)の2倍以上だ(※)。

※いずれも生豆換算の合計。財務省「通関統計」をもとにした全日本コーヒー協会の資料による。

わざわざ1980年の数字と比較したのは意味がある。国内の喫茶店数が最も多かった年は「1981年の15万4630店」で、最新調査では「2014年の6万9983店」に減っている(総務省「経済センサス」調査結果をもとにした全日本コーヒー協会資料より)。つまり、喫茶店の店舗数は半減したが、コーヒーの輸入量は倍以上となった。最も大きな理由は「飲む場所」が増えたことだ。当時は少なかった「コンビニコーヒー」や、ファミリーレストランやカラオケボックスの「ドリンクバー」でも、現在、コーヒーは当たり前のように飲めるからだ。

以上は「量」や「普及状況」の話だが、「質」でいえば、総輸入量のうち「スペシャルティコーヒー」と呼ばれる高級品は全体の5%程度にすぎないという。その中でも最高級品となると、ごく一握りの存在だ。

「世界王者が使う豆」を提供する会社
冒頭のイベント名の「90+」は「ナインティプラス」と読む。コーヒーの品質にこだわる米国の会社(とブランド)名だ。味と香りに特化した90+の商品は、世界で高く評価されている。創業者のジョセフ・ブロンスキー氏は、ゲイシャ品種に魅せられてエチオピアとパナマで自社農園を持ち、徹底してこだわったゲイシャ豆を生産する。

「世界各地のコーヒー品評会に出品された豆の評価基準では、80点越えが『スペシャルティコーヒー』と呼ばれますが、90点越えの点数がつくコーヒーにはなかなか出合えません。それを社名やブランド名につけるところに、この会社のこだわりがあります」

国際審査員でもあるサザコーヒー代表取締役・鈴木太郎氏はこう説明する。同氏は、業界関係者の団体「日本スペシャルティコーヒー協会」(SCAJ)理事で、同協会内の「コーヒーブリュワーズ委員会」委員長も務める。サザコーヒーの活動では長年世界各地の生産国を回り、良質のコーヒーを買い続けてきた。ブロンスキー氏とも親交がある。

最高級コーヒー豆でいれる1杯の値段
今回のイベントでは、2018年正月早々に鈴木氏らがパナマに出張し、買い付けた最新のベスト90+の「ゲイシャ」や、2017年に2つの世界大会で優勝したバリスタや、日本大会2位のバリスタが使用した「パナマ・ゲイシャ No227」というコーヒー豆が提供された。サザコーヒーエキュート品川店では、「No227」を1杯7500円(税込)で販売する。
http://president.jp/articles/-/24671